君に会うために

 
「各代表の皆様、本日はこれで解散です。ありがとうございました!」

順番待ちの場所になっていた薄暗い体育館のステージ脇でサキちゃんが声を張り上げた。
これでやっと帰れる。

部活紹介は一年だけの行事で、二年と三年はもうみんな帰ってる。なんか損した気分だ。

ユニフォームを着た体育会系の人たちや、楽器を持った人たちが仲間たちの待っている明るいアリーナへ出ていった。
他の部活はみんな二人とか三人とか、なんなら総出でアピールしていた。
一人きりで発表したのって私だけだった。
そりゃ、会員は全部で三人で部活になるための五人をクリアしてないし、特に大きくするつもりもないんたから仕方ないかもだけど。

「お疲れ」

サキちゃんに捕まった。

「一人で堂々と喋ってて、すごかったね」
「はあーー? あんたの方がすごいじゃん! 今日はずっと司会してたじゃん!」
「慣れだよ、慣れ。教室、一緒に戻ろ? そもそもこの場に二年なんてあんまりいなかったからさ、実はあんたの存在が心強かったのよ」

なんて馴れ馴れしく肩を抱かれそうになったとき、ステージ上から誰かがサキちゃんを呼んだ。

「チッ、全く人使いが粗い。ごめん」

サキちゃんは光輝くステージに出ていった。
私とあんたじゃ、生きてるステージが違うのよ。
なーんてちょっとふてくされながら明るいアリーナに出ようとした時だった。
誰かがこっちを見てる。
逆光になってて誰だかよく見えないけれど、男子みたい。

「あ、あの…、星先輩、星煌乃(きらの)先輩ですよね?」
「はい、そうですけれど?」

先輩って言ってるってことは一年生だよね?
文学研究会に興味を持った人ってことかな。

「文学研究会ですか?」

ここは先輩らしく、余裕を出して。

「僕、家守(いえもり)(おみ)といいます。臣下の臣と書いてオミです」

(おみ)君ね。かっこいい名前だな。

「僕、あなたに会うためにこの星に生まれてきた…」

「……はい?」