君に会うために

「今日は飛びかからなかったねえ。えらい、えらい」

「ニャッ(ふん。殿下がご一緒とあらば、そう安々と襲いかかるわけにもゆくまい)」

殿下?

「……ねえ、殿下って、ひょっとして東雲先輩のこと?」

「ニャ〜」

今度はにゃん吉は何もしゃべらなかった。
というより、私の頭の中に返事にできる言葉がなかったからだ。
今までのにゃん吉の言葉は全部自分の頭の中でしゃべっていただけだ、まるでにゃん吉がしゃべっているかのように。
時々、自分で考えていることとは全然違う言葉が返ってきてびっくりすることはあったけど。

「ねえ、にゃん吉? あんたって本当にしゃべってる?」

「にゃ〜」

ずるい。
だいたい私の会話にきちんと『にゃ〜』で返事をできているんだ。
コイツ、実は私と会話出来てるんじゃないのか?

「にゃん吉、今日のおやつは特別チュールにするつもりだったんだけど、おしゃべりしてくれないならただの鰹節にしようかな〜」

「ニャッ(それはダメにゃ、特別チュールにゃ!)」

「やっぱりしゃべってるよねえ?」

「にゃ(だから、今までに何度か自分がしゃべっていると言っていたであろうて)」