君の事好きになっても良いですか?



正直……胸が痛んだ。

でも……
琴音ちゃんの迷いは、
逃げなんかじゃない。


「そっか……。」


一旦、息を整える。


「晃は、」
「琴音ちゃんにとって大事な存在」
「なんだよな。」
「幼なじみとして。」


琴音ちゃんは頷いた。


「だからさ、今すぐ答えを出さなくて」
「いいよ。」


琴音ちゃんが顔を上げた。


「無理に何かを切らなくていいんだよ。」

俺はまっすぐ琴音ちゃんに伝える。


「晃との関係も」
「琴音ちゃんのその優しい気持ちも」
「どっちも大事にしていいし。」
「俺、待つよ。」
「琴音ちゃんは俺の事好きなんだよね?」
「Loveとして。」



「うん、好き。」
「私、初めて男の子を好きになったの。」


「なら、ちゃんと晃にわかってもらえる」
「ようにしなきゃだな。」
「晃もちゃんと男として見て欲しいって」
「本気で告白して、琴音ちゃんは」
「それに分かったと言ったのなら、」
「それも踏まえてそれでも俺の事が」
「好きって思ってくれたのなら」
「その時は琴音ちゃんから俺に」
「気持ち伝えてくれる?」
「だから1つ約束してくれる?」



「約束?」
あぁ……なんでこんなにも理央君は優しいの?
私が、優柔不断ですぐに答えが
出せないのに対して全然否定しないなんて。
こんなの駄目だよ。
できるだけ早く私、晃にちゃんと言おう。
私……理央君が大好き。
だから、先延ばしにしない。
約束して欲しい事はなんだろ……。
私は恐る恐る聞き返す。



「俺から逃げない事。」


理央君は、迷いのない目で言った。

胸が熱くなる。


「晃を大事にする事は」
「悪い事じゃない。」


「でも、自分の気持ちにまで」
「嘘はしないでね。」

その言葉に涙が溢れた。

花火が夜空を埋めつくす下で
私は泣きながら応える。

「私、晃にちゃんと自分の気持ち」
「分かってもらえるように伝える。」
「もう一度、晃に理央君の事好きなの」
「伝える。」
「だから、もう少しだけ待って。」




「もちろん!」



花火が少しずつ、終わっていく。

そして、理央君が私の手を繋いでくる。
繋いだ手はそっと重なる。


理央君が好き……大好き。




花火の帰り道


「琴音ちゃん。」



「ん?」



「さっき言った事、全部本当なんだけど」
「肝心な事話せてなかったから」
「話して良い?」


花火が終わり、俺は琴音ちゃんを家まで
送り届ける道中に話しを切り出した。



「良いよ。」


琴音ちゃんは不思議そうにこちらを見て
頷いた。



「俺さ。」
「実は、最初からだったんだ。」


再び胸の奥がドクドクと鳴る。


「通学の電車の中で、」
「琴音ちゃんを初めて見た時、」
「千歌ちゃんと楽しく笑顔で話してる」
「姿を見ててさ……」


人混みの中
揺れる車内
今でもはっきり思い出せる。


「正直、その時点で」
「俺、琴音ちゃんに一目惚れしたんだ。」


「えっ!そうだったんだ。」



「この時まだ、」
「名前もしらなくて」
「話した事もなかったのに……」
「何度も視線合わせるように」
「琴音ちゃんを目で追っかけてさ。」
「でも、気付かれないように」
「見ない振りして、」
「でもまた、見ちゃったりして(笑)」


理央君は照れながら小さく笑う。


「バカだろ?俺(笑)」



知らなかった……。
胸がキューっと締め付けられる。


「俺も最初に好きになったのは」
「琴音ちゃんだよ。」


「理央君……。」


私……もうこの人とずっと一緒に居たい。
それがシンプルの私の答えだった。



「さぁ、琴音ちゃんマンションに着いたよ。」


「理央君今日はありがとう。」
「すごく楽しかった!」

「こちらこそありがとう。」
「俺も楽しかった!」

「待っててね。」
「私、ちゃんと晃と話すから。」


「急がなくていいからね。」
「それじゃ、おやすみ。」



「うん、おやすみ。」
「気をつけて帰って。」



「わかった。」
「無事着いたらtalkメッセージ入れておく。」


そう言って彼は大きく手を振り
浴衣の下駄を夜道に奏さながら、
小さく消えて行った。




第10話 理央の告白 終わり