君の事好きになっても良いですか?

私は慌てて咄嗟に2人の間に入り、
両手を伸ばした。

「まっ……待って!2人共!」
「私、本当に大丈夫だから!」


どうしよう……なんでこんなに揉めるの。
晃が私に気持ちを伝えて
理央君は私の涙に混乱している。
落ち着かせなきゃ……。

私はそのまま互いの手を握った。


「お願い……お願いだから喧嘩しないで。」
「私、喧嘩する2人見たくない。」
「私、こんなに悲しくなるの嫌……。」


「「ごめん……。」」

「琴音ちゃんちょっと冷静になるね。」


「俺も。」


「わかってくれたなら良いよ。」
「みんな待たせてるし」
「みんなのところ戻ろ。」


「「うん。」」



私達は浜辺の熱い砂を踏みしめながら、
みんなが待ってるレジャーシートを引いた
ところまで無言のまま向かった。
並びは自然と私を真ん中に挟む形になり、
2人に挟まれて歩かされてるようで
私の心臓は落ち着かず、
足元だけを見るしかなかった。


どうしよう……2人共、怖い……。

風が吹く度に3人の空気だけが重く感じた。





─みんなの視線─


私、夏奈ちゃん、遥陽君、
夏奈ちゃんのお兄さんは、
3人が戻ってくるのを見て思わず
動きが止まる。


「ちょっと……夏奈ちゃん……」
「あれ、ヤバくない?」

そう言って私は琴音ちゃん達が歩いてる
方向に指を向けた。


「あの並び、絶対なんかあったね。」


「千歌ちゃん、夏奈……」
「あれは多分修羅場になった後だな。」


「若いって大変だな……。」

3人はこっちに近付いて歩いてくる。
その気まづい空気は、
遠くから見てもわかるほどに。







レジャーシートに着くと、
理央は何も言わず琴音の手首を軽く
引いた。

理央
「琴音ちゃん、ここ日陰だから座りなよ。」

理央の行動は自然に見えるが、
琴音の隣を確保する動き。
琴音はそれに気付いてない。

琴音
「うん、ありがとう。」

夏奈
「ねぇ、みんなほら見て!」
「夕焼けの海、めっちゃ綺麗だよ!」


遥陽
「すげぇー!」
「海がオレンジ色に染まってる。」


千歌
「ねぇ、みんなで写真撮ろうよ!」


理央
「いいね!」



「賛成!」


たか兄
「じゃ、記念に俺が撮ってあげるよ。」
「並びはどうする?」


夏奈
「理央と晃君は琴音ちゃんと」
「いたら、喧嘩になるから」
「私と千歌ちゃんの横ね。」



「喧嘩なんかしねえよ。」


千歌
「いやいや、絶対する(笑)」


理央
「否定はできないな(笑)」



琴音
「私、夏奈ちゃんと千歌ちゃんの」
「隣が良い。」



千歌・夏奈
「「OK!」」


たか兄
「撮るよー!」


俺達は、夕方茜色に染まった海を背景に
みんなで思い出の写真を撮った。




たか兄
「さてと、夜遅くならない内に」
「家まで送ってくよ。」



夏奈
「そだね、今日はこれでお開きで。」


千歌
「さぁ、シャワー借りて私服に着替えて」
「帰ろっか!」



「俺達もシャワー浴びて着替えてくる。」





各自、シャワーを浴びて私服に着替え
車に乗り込む。
帰りの車の中も琴音は、
千歌と夏奈の横並びで座り、
3人共30分経たずに疲れて寝ていた。

今日、俺は大きな一歩を踏んだ。
琴音は理央が好きなのは承知のうえで
気持ちを伝え、俺はこれから
琴音に男として見てって欲しい事も
伝えれた。
望は薄いけど、1%も望があるのならば
それを逃したくない一心だった。


「理央、俺遠慮しないから。」



「もちろん、だけど俺も」
「近々、琴音ちゃんに好きって伝えるから。」


「そんなの知ってる。」



「ところで琴音ちゃんは」
「あの時なんで泣いてた?」



「俺が琴音を諦めたくないって言った。」
「今から幼なじみとしてじゃなくて」
「1人の男として見てから返事」
「聞かせて欲しいってね。」
「琴音は好きな奴他にいるから……。」
「そいつだけじゃなくて俺も」
「見てから判断して欲しかったんだよ。」



えっ……琴音ちゃんに好きな人がいる……。
誰……なんだよ。
この言い方だと晃ではない……
じゃ、誰?
胸がザワザワと音を立てる。


「晃、好きな奴誰か聞いたの?」



「さぁーな。」
「でも、俺の知り合い。」
「まぁ、俺も好きに気持ち伝えたし、」
「理央も後悔ないように好きに」
「気持ちつたえろよ。」



「言われなくても、そうするつもりだ。」





私が寝ている間、こんな会話を
理央君と晃がしていたなんて思っていなく
私は今日、色んな事がありすぎて
ドキドキで胸がいっぱいいっぱいになった。
この後、夏奈ちゃんのお兄さんが
無事それぞれを送り届け、夏奈ちゃんと
お兄さんは夜景の道を走りながら
家路に向かった。



第9話 ドキドキの海

END