「ちょっと、2人とも琴音ちゃんが」
「困ってるでしょ!?」
千歌ちゃんが、浮き輪を持ちながら
理央君と晃にちょっと怒りながら
言う。
「理央、晃君とりあえずみんなで行こうよ。」
夏奈ちゃんも浮き輪を持ちながら
どこか呆れた顔で2人に言った。
「お二人さん、女の子を困らせる」
「のは駄目だぞ。」
「はいはいストップ!」
「みんなが居る場で修羅場作るなって!」
遥陽君は理央君と晃の間に入ろうと
すると、2人同時に言った。
「「今、入ってくんな!」」
「いや、俺悪くなくない?(笑)」
「遥陽君は悪くないよ。」
千歌ちゃんは遥陽君に優しい笑みを
して言う。
私はただ、両隣りから向けられる熱い空気に
どうして良いのかわからず固まったまま。
みんなと一緒に戻れば良いじゃんと
思っていた。
千歌ちゃん達が困ってるし、
こんなの全然楽しくない……。
私は、喉元まで言葉が出かけたところで、
夏奈ちゃんのお兄さんがこちらに
歩み寄って来た。
「はぁ……黙ってて聞いてたけど。」
「お前ら、海に来て開幕喧嘩して」
「なにしてんだよ。」
その一言で2人共ピタリと言葉を止めた。
お兄さんは、私の方に優しく視線を向けた。
「琴音ちゃん、どっちと行きたいか」
「琴音ちゃんが選んで良いんだよ。」
「流されなくていいから、自分の気持ち」
「正直に決めな?」
お兄さんから急に言わて私の胸はドキっと鳴る。
2人の視線が、同時に私へと向けられる。
「わっ……私は……」
たか兄の”自分で決めな”の一言で、
場の空気が一気に張り詰めた。
*理央*
言って欲しい……俺の名前。
晃を選んで欲しくない……。
俺の表情は平静を保っているかのように
見えるが、実際は胸の奥で不安な気持ちが
複雑に渦が巻いていた。
俺は……今日ずっと朝からあまり傍に
いれてない。
やっと琴音ちゃんと2人になろうと思ったのに
……そう思いながら晃の方を一瞬だけ
見て、奥歯を噛み締めた。
晃は昔から琴音ちゃんの隣りいる。
幼なじみで、琴音ちゃんの色んな
部分を知っている。
そんな奴に勝てる気がしないと、
弱音を吐いてしまう。
だけど、この想いだけは譲りたくない。
琴音ちゃんが、唇を少し震わせている。
その小さな仕草にすら、
胸の奥が締め付けられて痛い。
早く言って欲しい……誰を選ぶのか。
もう聞く覚悟は出来てるから。
理央 side 終わり
*晃*
琴音……俺を選べ。
頼む……頼むから……。
俺は、普段強気で余裕のある態度だが、
この瞬間や琴音を他の奴に取られそうに
なると、”怖い”という感情に胸が締め
付けられる。
小さい頃からいつも俺は傍に
居たのは俺なのに。
今日も俺だけ琴音を独占できるって
思っていたのに……
理央が現れてから全然うまく事がいかない。
拳をぎゅっと握る。
俺……自信がないんだ……。
琴音を失うのが怖い……。
幼なじみだからと言って、
ずっとこのまま一緒にいれるわけでは
ないってわかってる。
ここで琴音が誰を選ぶのかで、
琴音の想いがわかってしまう。
だけど、俺は最後まで諦めないって
決めたんだ……。
頼む……琴音……おれの名前を
呼んでくれ。
晃 side 終わり


