君の事好きになっても良いですか?


5階に到着したエレベーターが静かに
開き、俺は廊下へと進む。
琴音ちゃんの部屋502号室の前に立つと
深呼吸をして、玄関前横のブザーを
鳴らした。

数秒の静けさの後、
鍵の開ける音はせず、
ドアが開く音がした。
そして、ゆっくりとドアが開いた。


「……理央君……ゲホッ」




玄関のドアから現れた琴音ちゃんは、
可愛いクマのパジャマに薄いカーディガンを
羽織っていて、頬がほんのり赤く目元は
とろんっとしていた。

寝起きのせいなのか、熱のせいなのか
その弱々しい姿が一気に俺の胸を締め付ける。

普段より、少し低く掠れた声……
その声と姿を見て様子を見に来て良かった
と思った。


「大丈夫?立ってるのしんどくない?」
「俺、すぐ帰るから……」
「ごめんね、急に来ちゃって。」
「心配でたまらなくて来ちゃった。」



「ちょっとフラフラするけど」
「来てくれたの嬉しい……」
「理央君ありがとう。」



「そっか……良かった。」
「ほら、これ。」


私は、理央君から渡された
レジ袋の中を見ると、水とスポーツドリンク
が中に入ってた。
すごく心配してくれて買ってきてくれたんだ
と思うとすごく安心して、力が抜けてくる。


「水とスポーツドリンク……ありが……」


わぁー頭フラフラして体に力が入らない……
私……このまま倒れそう……。



「っつ!」


お礼の言葉を言われる前に、
琴音ちゃんの体がふわりと傾いた。
倒れそうになった琴音ちゃんを
俺は、反射的に腕を伸ばしだきとめた。

細い肩が自分の腕の中に収まり、
熱のこもった体温がじわっと伝わってくる。


「琴音ちゃん!危ない!」
「大丈夫?!」



抱きしめられる形になったまま
俺が声をかけると、琴音ちゃんは
胸元に額を傾けたまま小さく頷き、
声を出した。


「ごっ……ごめん……」
「急に力が……入らなくなって。」



「謝らないで、熱あるんだから」
「ふらついてしまうのは当たり前だって。」

焦りと心配で声が震えそうになる。
琴音ちゃんの体は本当に軽くて、
そして信じられないくらいに熱かった。


「ほらゆっくり立って……。」


理央君が私を優しく抱きとめてくれて、
声をかけてくれる。
熱の熱さと恋の熱さが複雑に
私の身体を溶け込んでいく。
理央君の顔がぼんやりと見える……
こんな時に私はつい嬉しくなってしまう。
理央君を独り占めしてる事に。
そして、甘えたくなってしまう。
ごめんね、理央君……今日の私、
なんだか変みたい……。

そんな事を思いながら立とうと
理央君の腕を掴みながら体を
動かすけど……

「あっ……ちょっと無理かも……。」

やっぱりまだ力が入らない……。
もう……迷惑ばかりかけてしまっている
本当に情けないなぁ……
せっかく来てくれたのに……
しかもこんな恥ずかしい姿まで
見せてしまって……。



弱々しく寄りかかってくる琴音ちゃんに
胸がキュッと締め付けられる。
不謹慎な事かもしれないけれど、
こんなに至近距離で琴音ちゃんに
触れられるなんて、ドキドキしない方が
変だ。


「わかった。」
「無理に立たなくて良いから。」
「俺がちゃんと支えるから安心して。」



「ありがとう……」
「理央君がいるだけで安心する。」


その一言……反則///。
心臓が急激に熱を帯びる。


「当たり前だよ!」
「放っておけるわけないだろ?」


「理央君……ありがとう。」