コンビニの冷気が抜けた直後のモワモワした
外の空気が体にくっつく。
今買った、水とスポーツドリンクが
レジ袋の中でコトンっと鳴った。
水とスポーツドリンク、どっちが
琴音ちゃん飲みやすいかわからないから
結局、両方買ってしまった。
これくらいしか、俺には出来ることが
ない。
そう思いながら俺は、歩くスピードを
自然と上げていた。
すると10分くらい経過して、
琴音ちゃんのマンションの前で
足を止める。
心臓が自分の鼓動とは思えないぐらい
早くなる。
「来ちゃったけど、どうしよう。」
インターホンを押すべきか、
やめるべきか……。
取りあえず連絡してみるか……。
スマホをポケットから取り出し、
画面をタップし、talkを開けて琴音ちゃんの
メッセージ画面を開ける。
さっきのメッセージはまだ未読のまま。
余計心配になる。
”今、琴音ちゃんのマンション前に来たよ。”
”水とスポーツドリンク、宅配ボックスに”
”置いとくね。お大事に。”
送信ボタンを押した。
俺は、スマホを見つめたまま
マンションホール横の柵に寄りかかった。
やっぱり寝てるよな……
置いて帰ろ……。
そう立ち上がったと同時にメッセージが
未読から既読に変わった。
胸の奥が熱くなった。
琴音ちゃんが起きた。
琴音ちゃんからの返事がすぐに来た。
”せっかく来てくれたし”
”理央君さえ良ければ上がって”
このメッセージでも伝わる……
弱々しくて、でもどこか頼ってくれている
ようで……。
一気に胸が熱くなる。
これ……
上がって良いって事だよな……?
もう、迷う余裕なんてどこにもなく
俺はすぐに動いていた。
マンションのホールに入り、
エントランスのひんやりとした空気が
少しだけ、気持ちを整えてくれた。
俺は、部屋番号を入力して最後に
呼び出しボタンを押した。
呼び出し音が鳴る間、僅かな沈黙が流れる。
そして……
「……はい……。」
スピーカーから聞こえてくる、
琴音ちゃんの声は掠れていて弱々しい声。
普段の琴音ちゃんじゃない声に
俺の胸がぎゅっと痛んだ。
「あっ俺、理央。」
「今、下にいるよ。」
「わかった……玄関あけておくね。」
小さく返ってきたその言葉が、
まるで頼られたみたいで胸の奥が
じんっと熱くなる。
「無理しないで!すぐ行く!」
インターホンを切り、
エレベーターのボタンを押す。
ドアが開くまでの数秒が、
今まで1番長く感じた。
エレベーターに乗り込むと、
天井の明かりに照らされた小さな空間で、
深呼吸をする。
場合によっては俺がちゃんと
支えてあげないと……。
俺はレジ袋をぎゅっと握りしめ5階へと
運ばれて行く。
琴音ちゃんが弱ってるいるのに
家へ行く向かうこの距離が、
やけに重たくそして甘い感情になる。


