*晃*
部屋の灯りを落とし、ベッドに倒れ
込んだ瞬間今日の電車の中の光景が
鮮明に浮かんでくる。
わざとだった……。
余裕のない俺は、
理央を煽りたかった……。
理央の視線がピクリと動いたのも
わかった。
だけど結果、琴音を混乱させる状態に
してしまった。
琴音の反応は完全に予想通りの
反応だった。
”風邪ひいたの?”
心配そうにそやって俺に言ってきた、
鈍い天然な琴音。
中学の時もこんな感じの事あったけな。
それなのに、挙句の果てには
好きな人ができたなどの報告を食らった。
しかもそれは叶わない恋だそうで……。
”叶わない恋”
その言葉が何度も頭の中でリピート
される。
もし、その相手が理央だったら?
理央は琴音が好きだし、
琴音の勘違いだけだから……
なんて琴音には言わない。
琴音の事応援してやりたい……
琴音自身が幸せなら良い……
そう言葉には簡単に言えるけれど、
自分の素直な気持ちはそうではなく、
うまくいってほしくない……
それが本音。
守ってやりたい、
笑わせたい、
叶わない恋なんて言わせたくない。
だけどその相手が俺じゃないかもしれない
現実がただ、苦しい……。
俺はただ……純粋に琴音の事が
大好きなんだよ……。
ずっと前から大好きなんだよ……。
だから、どこにも行ってほしくない。
もう幼なじみだけは嫌だ……。
そう思いながら俺はベッドの枕に顔埋めて
涙を少し流した。
目を閉じれば、また琴音の事ばかり。
カフェの時の悲しげな表情……
電車で理央と会話に発する優しい声。
そして、車内で何も気づかずに天然
な事を言って俺を追い詰める無自覚さ。
「ほんと……ずりぃーよ。」
瞼が重くなっていく。
琴音の事を考えるほど愛しさと焦りと、
言いようのない切なさが混ざり合い
胸を締め付ける。
「好きなのに……。」
誰かに聞かせるでもない声が、
暗い部屋に響いた。
悔しさも、想いも、全部抱えたまま
今夜はどれも片付けられそうになかった。
俺は静かに息を吐き、
ゆっくりと眠りへと沈んでいった。
晃 side 終わり
第7話 俺だけを見てろよ
END


