君の事好きになっても良いですか?


私達はいつも通りに、
電車に乗っていた。
私の横には理央君がいて、
いつもドキドキさせられぱっなし。
理央君は緊張とかしないのかな。
私だけが意識しちゃってる感が
すごいする……。



「ねぇねぇ」
「今日、私と琴音ちゃんバイト」
「なんだけど、今日私達バイト18時から」
「なんだよね。」
「だから、みんなでバイトの時間まで」
「お茶しない?」
「まぁ、理央は予定入ってるから」
「無理だろうけど。」

そう言って夏奈ちゃんは目を輝かせて
喋った。



「お茶したい!」
「夏奈ちゃんとお茶するの」
「私初めてで嬉しい!」



「千歌ちゃん、私も嬉しい!」
「琴音ちゃんはもちろん良いよね?」


「うん!」
「良いよ!」



「遥陽は?今日予定とかある?」



「俺も全然空いてるからOK!」


「後は、晃君が乗って来たら聞かなきゃね。」


「みんな良いなぁ。」
「今度、俺もまぜてね。」


「理央そんなに落ち込まない(笑)」
「まだまだみんなでいっぱい遊べる時」
「あるんだから!」
「夏休みもあるでしょ?」



「理央君は、好きな人と行きたいよね♪」



「うん(笑)」
「好きな人とたくさん色んなところ行きたい。」


千歌ちゃんから聞いたその言葉は、
まるで薄い紙の端で指を切った時みたいに
チクチクと胸に刺さった。

頭が真っ白になる。
車内の喋り声も友達の喋り声も
理央君の喋り声も全部遠くに押し流されて
いく。

そっか……理央君好きな人いるんだ。

その事実だけが、ぽつんと心の中に
置かれて、じわじわ広がってく。
ちゃんと現実を受け入れなきゃと
思わないといけないのに、苦しくて
痛い……。

知りたいけれど、怖い……。
きっと私じゃないんだろうな。


「理央、素直じゃん♪」



「夏奈、おちょくるな!(笑)」


そう言って理央君の左に並んでる
夏奈ちゃんの髪をくしゃくしゃに
してじゃれていた。


あっ……わかちゃった……かも。
理央君……夏奈ちゃんの事好きなんだ。

ズキズキと心が張り裂けそうで、
ここに居たくない……。
そう思っていたら、晃が乗ってくる岸駅に
着いた。




電車ドアが開いた瞬間、
俺は琴音達を見つける。
見つけた瞬間、琴音の隣には
当たり前のように理央がいる。
胸の中で何かがプチンっと弾けた。
俺は迷わず一直線に、琴音の
所へ歩き出す。

理央の横を通り抜けて、
琴音の真横まで一気に行く。
片手で吊革を掴み、ほぼ琴音を囲うような
立ち位置になる。
俺は立ち位置をキープした後、
自然を装いながら理央に対して、
牽制の視線を送る。


「琴音の隣り、空いてて良かったわ。」


「えっ……晃、でも理央君が……」


俺は遮るように
琴音の掴んでる吊革に持ち替えて
琴音に更に近く。
理央はもちろん、その他の千歌達も
驚きながらこっちに視線を向けている。
それもそうか、今までこんな強引
にはして来なかったから。



「俺が隣りで良いでしょ。」


そう言って、晃は琴音ちゃんの
腰に手を添えていた。
俺、今ものすごく嫉妬と怒りが
込み上げている。
俺はいつの間にか吊革を握る手に
力が入りながら淡々と言葉を発した。


「それ、必要以上に近くない?晃。」



「理央、心配しすぎ。」


プチンと俺の中で音が聞こえた。
あぁ……ヤバい……
そう思ったのと同時に俺は
晃だけに聞こえるように
言った。


「琴音ちゃんを理由に」
「マウント取るの辞めろよ。」


晃?理央君?何話しているの?
てか今日、晃なんか近くない!?


「晃、今日近いけど」
「寒いの?風邪でも引いた?」


「は?」
「風邪?なんでそうなるんだよ……。」