君の事好きになっても良いですか

さらっと言われたその一言に、
俺の心臓が再び一気に跳ね上がる。
琴音ちゃんの視線を逸らした
はずなのに、耳まで熱くなるのが
自分でもわかる。


そんな事言われたら……期待してしまう。


私達はアトラクションの出口を抜けると
喧騒の中にぽつんと静けさが残っていた。
ジェットコースターのドキドキと
理央君のドキドキで心臓はまだ、
落ち着かず手のひらが少し汗ばんでいる。

隣を歩く理央君はさっきよりも
少し笑っているように見えて、
その笑顔に思わず胸がざわっとする。

なんでこんなに、隣にいるだけで
ドキドキしちゃうのだろう。
恋をするって大変なんだね。



「あっ///琴音ちゃん次どこ行く?」




「次は、そろそろお昼ご飯」
「が食べたいなぁ。」
「あっ、ここで食べたい。」

琴音ちゃんが俺の遊園地マップを除き、
指で食べたい場所を指しそう答える。
ちっ……近い……
もう、今日俺色んな意味で無理かも。


「いいね、ハンバーガー屋さん!」



昼下がり、ジェットコースターを降り
少し疲れた俺達はハンバーガー屋さんの、
店内の窓際の席に並んで座る。
外からは軽快な音楽が聞こえて、
店内はポテトの匂いがした。


琴音ちゃんはチーズハンバーガーを頼み、
口いっぱいに頬張る。
そんな飾らないところが1番好き。


「琴音ちゃん、ほらソースついてる。」
「ほらここ。」

俺は自分の頬を指さす。


「えっ!?ソース!?」
「わっ!本当だ……教えてくれてありがとう。」
「でも、恥ずかしい///。」



「別に気にしなくて良いよ。」
「こーゆうところも琴音ちゃんぽいよね。」
「あどけない所が。」


琴音ちゃんはナフキンでソースがついてる
頬を拭った。
その1つの行動だけでも、愛おしいくなる。



「理央君、取れた?」
「私、いつも晃にも言われるの……」
「子供ぽっいって。」


幼なじみってだけで、琴音ちゃんの
1番近くにいられる存在。

琴音のちゃんの”子供ぽっい”とか
”昔から知ってるから”みたいな関係性を
自分は持っていない。
それをサラッと言える間柄に、
少し胸の奥がチクリとした。

でも、嫉妬してるなんて悟られたくなくて
友達のテンションを崩さない範囲で
ちょっとだけ本音を混ぜる。
だけど、やっぱりどうしても嫉妬が出てしまう。

「取れたよ。」
「へぇー晃って、そんな事言うんだ。」
「幼なじみだからって何でも言って」
「いいわけないと思う。」

俺は少し不機嫌そうに聞こえる声の
トーンで喋ってしまう。


「俺からしたら、琴音ちゃんの」
「そういう所、全然悪くないし」
「むしろ、大人ぶってキャラ作ってる人」
「より琴音ちゃんの素直で子供ぽっい」
「所好きだよ。」


「理央君……怒ってる?」
「なんか、声のトーンが低くなった」
「気がして……。」


琴音ちゃんはストローの先を見つめながら、
少しだけ不安そうに首を傾げた。

やっぱり気付かれた!?
誤魔化さないと……
嫉妬してるのをバレたくなかった。
心広い俺でいたい。
琴音ちゃんにだけ、いいところを見せたい。
ただ俺の見栄なだけ……。
平常心……平常心。


「怒ってないよ。」
「ほら、顔見て……。」



「うん。」
「怒ってないのなら良かった。」
「私何か余計な事言っちゃったのかなって。」




「ただ、晃の言い方にちょっと」
「むかついただけだから、」
「琴音ちゃんは何も悪くないし」
「これは俺の問題なだけ。」
「だから、そんな悲しそうな顔しないで。」



「怒ってくれたんだ。」
「晃はいつもそんなんだから気にしないで。」
「理央君がこんな私でも好きって」
「言ってくれて嬉しい、ありがとう♪」



こうして私達は昼食をとり、
後半色々なアトラクションを堪能した。
空はいつの間にか夕暮れの色に染まる。


「もう、夕方か……。」
「なんか1日あっという間だったね。」
「そろそろ帰らなきゃだね。」


理央君はそう言いながら空を見上げて
少し名残惜しそうに微笑んだ。


「ねぇ、理央君。」
「今日ね、すっごく楽しかった!」
「また一緒に来たいな。」


そう伝えた瞬間、胸の奥がくすぐったくて
熱くなる。
”また”と言った自分の声が緊張で
震えていないか不安。
理央君がどんな顔をするのか怖いのに
見たくて仕方ない。
私は勇気を出して理央君の顔を見つめた。