君の事好きになっても良いですか?


駅に着いて乗り込んだ電車は
思ったよりも人が多くて、
自然と琴音ちゃんとの距離が近くなる。
つり革に捕まる俺の腕に琴音ちゃんの
肩が触れてその温度がじわじわと
広がる。
降りる駅は綾部駅から8つ目の大正駅。
このままずっと琴音ちゃんの肩に
触れていたいと密かに願った。


8つ目の大正駅に着くと、俺達は下車し
切符を改札に通して駅から出た。




「ここ!」
「スカイワンダー遊園地だ!」


スカイワンダー遊園地は2年前に
オープンした絶叫マシンが有名の遊園地。
ずっと行きたくてなかなか行く
機会がなかったので今回来れて私は
つい、大きな声を出して舞い上がって
しまった。
理央君に子供ぽいとか思われてないだろうか。


「琴音ちゃん嬉しそうで良かった!」


「私めちゃくちゃ行きたかったの!」
「理央君、嬉しい!」



「喜んでくれて良かった!」
「じゃ、早速中入ろ。」


「理央君、入る前にチケット買わなきゃ。」



「もうネットでonedayチケット」
「2枚買ってあるから」
「チケット買わなくても良いし、」
「乗り物も乗り放題のチケットにしたから」
「大丈夫だよ。」



「理央君ネットで買ってくれてたんだ!」
「いくらだった?」
「お金だす。」



「お金は要らないよ。」




「えっ!?」
「理央君、それは駄目だよ……」
「乗り放題付きのチケットだから」
「結構高いじゃん。」



「本当に大丈夫だよ。」
「俺が琴音ちゃんと行きたかったから」
「ここは出させてよ。」
「初めてのお出かけ記念て事で(笑)」


「理央君、良いの?」


「良いの良いの、俺がそうしたいんだ。」




「それじゃ、甘えちゃおうかな。」
「理央君ありがとう。」



「そのかわりいっぱい遊ぼ!」


「もちろん!」



こうして私達は遊園地のゲートを通り、
いよいよ遊園地の中に入った。
スカイワンダー遊園地の入口には
雲みたいにふわふわとした白い
ゲートが立っていた。
触れたらそのまま溶けてしまいそうな
柔らかい置物。
ゲートから入ってすぐ道の両側には
パステルカラーのランプが並んで、
淡いピンクとミントゆっくり瞬いてる。


「琴音ちゃん、最初どれに乗る?」


そう言いながら、理央君は紙の遊園地マップ
を眉を寄せて真剣に見ている理央君の
横顔。
そんな些細な表情ひとつで恋と気付いたら
ずるいほど惹かれてしまう。


「私、スプラッシュコースター乗りたい!」


そう無邪気に笑う琴音ちゃんの声が、
耳にふわっと刺さる。
ジェットコースターに乗りたい!
その言葉だけで、胸がいっぱいになる。
楽しそうで、嬉しそうで、
全然怖くなさそうで……
その姿を見てるだけで、自分まで
心が弾んでしまう。

どうしてこんなに無邪気に笑えるんだろう。
目を細めて笑う顔、弾む声、
両手を握りしめて上下に振る仕草。
全てが心の奥にグッと突き刺さり
琴音ちゃんのその笑顔の横で俺は
何とか平静を装うけど、
内心はドキドキで、早くなる鼓動を止められ
なかった。


「俺も乗りたかったんだ!」
「早速行こう!」