君の事好きになっても良いですか?


チェックアウトを済ませ、
旅館の前に全員が集まる。

空気は少し冷たく、
空は高くて今日も、
綺麗に空は晴れていた。

遥陽
「じゃ、」
「帰ろっか。」

遥陽君の一言で、
みんなが頷く。

駅へ向かう道、自然と並びができる。

千歌ちゃんと遥陽君は、
何も気にせず肩を寄せ合い、
楽しそうに話している。

私の隣には、理央。

その少し後ろに、晃と夏奈ちゃん。

理央は、
そっと私の手に触れ、
そのまま握ってきた。

強くは握らない。
確かめるように優さしく
握られた。

私はもちろん
その手を拒まなかった。
理央の行動に答えるように、
私は理央の手を優しく握り返す。

そして、私は視線を感じ後ろを
振り向くと晃がその様子を見て、
目を伏せた。



帰りの電車……。

窓の外を流れる景色を見ながら、
それぞれが、
旅の終わりを噛みしめていた。

千歌
「楽しかったね。」

千歌がちゃんが明るく言うと、
全員が頷いた。

遥陽
「また、みんなで」
「行こう!」

遥陽君の言葉に、
みんなの笑顔が広がる。

俺は少し離れた席から、
琴音を見ていた。

俺の表情は、もう揺れてはいなかった。

理央に奪うって言ったけど
奪い方は、間違えない。
俺は俺のペースで行けば良い。


私は晃君が琴音ちゃんを
目で追っているのを見る。
晃君……辛そうな顔してる……
何とかしてあげたいけれど、
こればかりは私達はどうする事も出来ない。
そんな、歯痒い気持ちが胸に残る。


電車が、
それぞれいつもの
最寄り駅に近づく。

アナウンスが流れ、
日常が戻ってくる。

”またね”と短い言葉を交わしながら、
それぞれが改札へ向かう。

旅は終わった。
千歌ちゃん、夏奈ちゃん、理央、
晃、遥陽君とみんな一緒に
旅行に行けて本当に楽しかった。

でも……
この時間で生まれた想いは、
終わらない。

それぞれの関係が、
少しずつ形を変えながら、
これからも続いていく。

静かに、
確かに。



第25話 みんなで旅行

END