君の事好きになっても良いですか?




……やめろ。

聞きたくない……
そんなん言われなくても分かる。


「完全に、限界超えてる顔だった。」

その瞬間、
俺の中で、何かが切れた。


「……だから何だって言ってんだよ!」

思わず、声を荒げてしまう。

「それ、晃には関係ねぇだろ!」
「これは俺と琴音の問題だ!」
「いちいち首突っ込んでくんなよ!」


リビングに、怒鳴り声が響く。
今日、姉貴も父さんも母さんも
居なくて良かったと心から思う。

言った瞬間、自分でも分かる。

――完全に、八つ当たりだ。

でも、止められなかった。

晃は、一瞬だけ目を見開き、
それから、ゆっくり立ち上がった。

「関係ない……?」

低く、抑えた声。

「本気で言ってるなら、」
「お前、相当だぞ。」

晃の手が、俺の胸元を掴んだ。

ぐいっと引き寄せられ
一気に距離が詰まる。

心臓が、大きく跳ねる。


「覚えてるか?」

睨みつけるような視線。
相当怒ってると分かる。

「お前が琴音と付き合い始めた時、」
「俺が言ったこと。」

俺の喉が、ごくりと鳴る。


「琴音を泣かせたら、」
「遠慮なく奪うって言ったよな。」

その言葉が重く、確かに、この場に落ちた。


「今のあいつ……」
「どう見ても泣かせてるだろ。」

拳を握る力が、さらに強くなる。

「俺はな、」
「今でも、琴音のことが好きだ。」

はっきり、そう言い切った。

「諦めたフリして、」
「隣にいるって選んだだけだ。」

晃の声は、
怒りと、痛みと、
どうしようもない想いが混ざっていた。

「それを、」
「お前が踏みにじるなら――」

「俺は、宣言通り動く。」


奪う……。

その言葉の重みが、
俺の胸を、強く打つ。
そんなの……絶対あってはならない。



「……ふざけんな。」

低く、吐き捨てる。
段々と俺も頭に血が登ってくるのが
一目瞭然で自覚してくる。

「奪うとか、」
「簡単に言うな。」

胸ぐらを掴まれたまま、
俺は晃を睨み返して言う。

「琴音は物じゃない。」
「誰かの都合で、」
「行ったり来たりする存在じゃない。」


「分かってる。」

俺は理央の言葉に即答で返した。

「だからこそ、」
「今の状態を放っておけない。」

一瞬、晃の手の力が緩む。

「……理央。」
「お前、本当は分かってるだろ。」

その言葉に、胸がずきりと痛んだ。

分かってる……
俺が一番、分かってるんだ。

あの夜、言い過ぎたことも。

強がって、
折れないって言い切った自分が、
どれだけ意地になってるかも。

でも――

「……それでも。」