君の事好きになっても良いですか?


*理央*

琴音との通話が切れた……
と言うか俺から一方的に
切ってしまった。
切ってしまってから、
後悔だけが、心にキリキリと残る。


スマホの画面が暗くなっても、
俺はしばらく、そのまま動かなかった……
動けなかった……。


静かすぎる俺の部屋が余計、
寂しさを倍増させる。

さっきまで聞こえていた琴音の声が、
耳の奥に残っている。

……言いすぎた。

それは、充分に分かってる。

でも、何故か引けなかった。

ベッドに腰を下ろし、
片手で額を押さえる。


琴音……泣きそうな声で、
一生懸命俺に伝えようとしてた。
さっきのやり取りが鮮明に、
フラッシュバックされる。

胸の奥が、
じわじわと熱くなる。

「……晃……か。」

名前を口にしただけで、
苛立ちが浮かび上がる。


俺は、琴音が誰を好きか、
ちゃんと知っている。


それは……俺だ。
琴音の表情や行動や、話し方など
でそれは凄く伝わってる。

告白も、
付き合うって言葉も、
指輪も。

全部、
俺たちはちゃんと積み重ねてきた。

なのに……なのに……なんで……

どうして、あいつが絡むと
こんなに不安になるんだよ。

理屈じゃない。

晃は、良い奴だし優しい。

昔から、
琴音のそばにいるのも事実で
俺の知らない琴音も知っている。

俺より、
長い時間を過ごしてるし、
晃は見てきてる。


その事実が、どうしても消えない。

この気持ちはヤキモチなんだ……
嫉妬なんだ……独占欲の塊なんだ。


「琴音は……無防備すぎる。」

口にした言葉を、頭の中で繰り返す。

あれは、責めたかったわけじゃない。

……守りたかった。

でもそんな言い訳は、今さらだ。

俺は、立ち上がって窓を開けた。

夜の空気が、一気に流れ込む。

冷たいはずなのに、頭は全然冷えない。


琴音は晃の事が、
心配で病院に行っただけ。

琴音は、そう言った。

正しい……。
幼なじみのお母さんが倒れて、
緊急搬送されたなんて聞いたら
そう言う行動に出るのも、仕方がない。

分かってる……頭では分かってるんだよ。

でも、それでも……

「俺の彼女なんだよ。」

ぽつりと、独り言が漏れる。

誰にも、奪われてないのに……

何も、起きてないのに……

それでも……
“もしも”を想像してしまう自分が、
どうしようもなく嫌だった。


晃が弱って、琴音が寄り添って。

手を握って、声をかけて。

その光景が、頭の中で勝手に形になる。

……想像だけでこんなにも胸が苦しい。


俺は、琴音を信じていないわけじゃない。


例え、手を握ったとしても
優しく声をかけたにしても、
それは大切な幼なじみと言う気持ちから
くるものであって、
琴音は晃の事を恋愛対象としては見てない。