晃と、目が合う。 言いたいことは、 たくさんある気がした。 でも、 今は言葉にしないほうがいい、 そんな気もして。 「……おやすみ。」 私は晃に向けて、小さく手を振る。 「あぁ、おやすみ。」 俺も、 同じように答えた。 そしてドアが閉まり、琴音の姿が消える。 残された廊下の灯りが、 やけに明るく感じられた。 俺は、その場から動けず、 しばらく、閉まったドアを見つめていた。 ――触れられない距離。 それを、守れたのか、 守れなかったのか。 答えは、胸の奥で、 静かに揺れていた。