君の事好きになっても良いですか?

その笑い声に混ざって、
”みんなで行く旅行”という言葉が、
少しずつ現実味を帯びてくる。

夏奈
「夜は部屋でトランプとかしようよ!」

琴音
「修学旅行みたい!」

理央
「枕投げは?」

夏奈
「それはやめて。」


理央
「なんでだよ!?」

他愛ない会話が続く中で、
私はふと、この時間がすごく好きだと思った。
夏奈ちゃん、理央とこうして3人だけ
って初めてな気がする。

特別なことをしているわけじゃない。
ただ、みんなで同じ未来の予定を
話しているだけ。
それだけなのに、胸の奥が暖かくなる。


夏奈
「じゃ、とりあえずここ候補ね。」

琴音
「また晃たちにも相談しよ。」

理央
「そうだな。決定は全員そろってからだな。」


気づけば外は少し暗くなっていて、
窓に映る私達の姿は、
どこにでもいる高校生そのものだった。

夏奈
「じゃ、今日はここまでね。」
「お疲れー!」


店を出て、3人で同じ電車に乗る。
私は理央の隣に立ちながら、
この”当たり前”の時間が、
ずっと続けばいいと思っていた。

――このときは、まだ。
翌日の出来事が、大変な事になるなんて
私は想像すらつかなかった。








───翌朝のデート


朝の空は、名前の通り、
どこまでも青かった。

駅で待ち合わせた理央は、
少し眠そうな顔をしていたけれど、
私を見つけると、すぐに表情が柔らぐ。


「おはよう琴音。」

それだけの挨拶なのに、
胸の奥が、じんわりとあたたかくなる。

「理央、おはよー!」
「眠たそうだけど大丈夫?」


「大丈夫だよ!」
「ちょっと夜寝るのが遅く」
「なっただけだから気にしないで。」


イベント会場に向かう電車の中、
理央は窓の外を見ながら、ぽつりと言った。

「今日さ、すごい楽しみにしてた。」


「私も。」
「昨日からワクワクが止まらないもん。」


大きな期待があったわけじゃなくて、
ただ“一緒に過ごせる”という事実が嬉しかった。


会場に着くと、
カラフルな装飾と音楽に包まれて、
自然とテンションが上がる。

そして、レイヤーさん達が沢山いて、
私と理央のテンションは爆上がりしていた。


「理央、見て見て!」
「あのレイヤーさん、めっちゃ」
「スカーレットに似てる!」


「本当だ!」
「めっちゃアニメに忠実に再現してるね。」


「こーゆう似合うの良いなぁ。」



「琴音もやってみたら良いじゃん!」


「えっ!」
「私は、見る専で。」
「私がしても似合わないし。」


「いや、絶対似合うと思う。」
「特に、ローザとかね!」
「目がクリクリしてて顔も、」
「小さいから似合う。」


「やるとしても、理央にだけ」
「見せる///。」


「琴音、それ超嬉しい!」
「他の奴に見せたくないし。」
「俺だけ見せてくれるのヤバい///。」


そんなやり取りをしながら、
グッズ売り場を何周もする。



「理央見て、これ可愛い!」


「また買うの?」


「だって限定だよ?」



理央は文句を言いながらも、
私が手に取ったものを、
ちゃんと覚えていて、
気づけば会計に一緒に並んでいる。