君の事好きになっても良いですか?


遥陽
「なぁ、おみくじ引き終わったけど」
「この後どうする?」

遥陽が千歌の手を握りながら切り出す。

遥陽
「解散する?」
「それともどっか寄る?」

みんなの視線が自然と遥陽に集まる。
その間に——
俺は、何も言わずに琴音の隣へ移動した。

そして……
当たり前のように、そっと手を取る。

指と指が絡まり、恋人繋ぎになる。
今日、初めてやっと繋げて俺は
心がホッとする。

琴音は一瞬だけ驚いたように目を伏せてから、
そのまま、握り返した。

晃の視界にもはっきりと映っているだろう。
わざと見えるようにしたから……。
琴音の頬に2度触れたお返しだ。
それは、
言葉よりも強い意思表示だった。


琴音
「……あの」

その時、
琴音が小さく手を挙げた。

琴音
「もしよかったら……」
 「みんなでお昼ご飯、食べたいなって。」


恋人繋ぎのまま、少し照れたように。
そんな可愛い琴音の握ってる手を
俺は更にギュッと握りなおす。

夏奈
「いいじゃん!」

夏奈が即答する。

はる
「賛成!」

遥陽も続く。

理央
「俺も。」
「そろそろお腹も空いたしね。」

そして俺も夏奈と遥陽に続いて
言った。

繋いだ手は、離さない。

千歌
「理央君、私も同じくお腹空いた。」

夏奈
「近くにファミレスあるよね?」

遥陽
「じゃあ決まりだな。」
「晃も問題ないよな?」

その流れの中で、俺だけが少し遅れて頷いた。
理央が、琴音に恋人繋ぎをした瞬間から
俺は、辛い感情を隠すのに必死で
会話に出遅れていた。




──ファミレス

私達は歩いてファミレスまで向かい
約15分程で目的地に到着した。
店の自動ドアが開くと、
暖かい空気が一気に包み込んで、
私の冷えた体がじわじわと溶けていった。
理央も私の隣りで同じような事を
思ったのか、お互い見つめてクスリと
笑った。


千歌
「生き返る〜!」

千歌が肩をすくめて笑う。

遥陽
「外ほんと寒かったもんな。」


案内されたのは、
少し奥の大きめのボックス席。

ウェイトレス
「6名様、こちらどうぞ。」

自然に席へ向かう流れの中で、
俺は一足先に腰を下ろし、
隣の空いた席を琴音に向けて軽く示す。


「……こっち、空いてる。」

低い声で、さりげなく。



私は一瞬だけ周りを見てから、
もう既に遥陽君と千歌ちゃんと夏奈ちゃんは
向かいの椅子に座っており、
晃の隣りに座るしかなかった。

琴音
「……うん」

と頷き、晃の隣に座った。

その光景を、
理央は黙って見ていた。

次の瞬間——
何の躊躇もなく理央が動くのを
私は見つめていた。

理央
「じゃあ、俺はこっちな。」

晃と琴音の反対側、
琴音のもう一方の隣におれは腰を下ろす。

結果、
琴音は2人に挟まれる形になった。



「っ……。」


琴音
「理央……?」

琴音が小さく声を漏らす。

理央は、当たり前のように晃に言った。

理央
「晃、問題ないだろ?」
「俺、琴音の彼氏だし。」

そう言って俺は琴音の手にそっと触れる。