「ねぇ……理央。」
「私、初めてで分からない事」
「ばっかりで……。」
琴音が正直に言うと、
俺は静かに耳元で囁いた。
するとみるみる琴音は顔を赤く染め
色気のある表情をする。
こんなのもう……俺、限界かも。
「分からなくていいよ。」
「俺がリードするから。」
「俺に委ねてね。」
「ゆっくり……してくれる?」
「もちろん。」
「……ちゃんとゆっくり優しくする。」
理央の声は、終始穏やかだった。
触れ方も、距離の詰め方も、急がない。
「怖かったら、止めるから。」
「止めないで。」
小さなやり取りが重なり、
緊張は次第に温度へ変わっていく。
「……好きだよ、琴音。」
「私もだよ……理央。」
何度も名前を呼び合い、確かめ合うように
重なり合った。
外はすっかり夜で、
カーテン越しの街灯が淡く揺れている。
その先は、言葉にしなくても伝わる、
2人だけの時間。
――誕生日の夜は静かで、
甘く、確かな記憶として重なっていった。
第21話 琴音17歳の誕生日
END


