その後も街を歩き、ショッピングして
イタリア料理のお店の季節限定コースを食べて、
他愛ない話を重ねる。
時々、俺の視線が指輪に落ちるのを、
琴音は気づいていた。
ちゃんと、恋人なんだ。
どんどん形になっていく。
イタリア料理も堪能し店を出る。
夕方の空がオレンジ色に染まり始めた頃――
「……この後さぁ……」
理央が、少しだけ言い淀んだ。
「俺の家、来ない?」
「姉貴も父さんも母さんも」
「今日、帰り遅くなるんだ。」
一瞬、空気が静まる。
私は、理央を見上げた。
理央のお家……えっ……
ご両親とお姉さんが居ないと言う事は
2人きり?
あれかな……青空ワールドのアニメ
一緒に観るとかなのかな?
この間、一緒に観ようねって言ってたし。
逃げ場のない、まっすぐな目。
よっぽど理央は一緒に観たいんだね。
「うん行く。」
小さく頷いた瞬間、
理央の表情がほっと緩んだ。
──理央の家
玄関のドアが閉まる音が、
静かに部屋に溶けた。
「お邪魔します……。」
琴音は靴を揃えながら、
少しだけ周囲を見回す。
落ち着いた色合いの家具、
整えられた棚。生活感はあるのに、
どこかよそ行きの空気が漂っていた。
初めて理央の家行った時は
緊張しすぎて全然周りが見えてなかった
からちょっと新鮮かも。
「コート、そこ置いていいよ。」
「あと、ソファーに座って良いからね。」
理央に言われ、コートを置いて
私はソファの端に腰を下ろす。
「ね、理央どれ観る?」
「……どれ?」
ん?どう言う事だろ……。
「青空ワールド観るんでしょ?」
そう言ってリモコンに手を伸ばす琴音に、
理央は一瞬だけ目を瞬かせた。
「……あ」
「え?」
「今日は、その……観てもいいけど」
歯切れの悪い言い方に、琴音は首を傾げる。
「もしかして私違ってた?」
「一緒に観るって思ってた」
「違ってたならごめん。」
素直な一言だった。
理央は小さく息を吐いて、隣に腰を下ろす。
「良いよ青空ワールド観よう。」
そう言って俺は琴音に微笑みながら
頭をポンポンと撫でて言う。
ちょっと予定とはズレたけれど、
こんな無邪気に目を輝かせた琴音を
見たら、一緒に観たくなった。
こうして、俺と琴音は青空ワールドのアニメ
を観ても堪能した。
その後は……。
俺はそっと琴音の指輪に視線を落とし、
そっと指先でなぞった。
「りっ……理央?」
「俺……琴音と愛し合いたい。」
そう言って理央はゆっくり距離を
詰めてきた。
視線が離せない……いつもと違う理央の
表情にドキドキが止まらない?
どっ……どうしよう……愛し合いたいって
きっと……あの事をす……るんだよね……?
私、経験した事ないよ……
正直言うと不安だけど……理央となら……。
「嫌だったら、言って。」
「そんな事……言わないよ。」
「嫌じゃないよ。」
短い会話のあと、唇が触れた。
深くはない、確かめるようなキス。
「大丈夫?」
「うん。理央は?」
「俺琴音を……離したくない。」
その言葉に、私のの胸が熱くなる。
理央は私をお姫様抱っこする。
そして、ベッドにそっと寝かされ……
手を取り合ったまま、
しばらく何も言わずにいた。


