──まもなく、東中園、東中園
私と千歌ちゃんの最寄り駅が到着する。
千歌
「理央君、夏奈ちゃん」
「遥陽じゃあね!」
琴音
「理央、また明日ね!」
「夏奈ちゃん、遥陽君またね!」
千歌ちゃんと私は降りる準備をする。
理央は、ここでようやく口を開いた。
理央
「琴音。」
「……明日、迎えに行くから。」
その一言に、琴音は小さく微笑む。
琴音
「うん、待ってる!」
ドアが開き、琴音と千歌ちゃんは
ホームへ降り立つ。
閉まるドア越しに、
俺はしばらく琴音の姿を見送っていた。
電車が再び動き出し、
車内に残ったのは俺、夏奈、遥陽。
夏奈
「……明日か。」
夏奈がぽつりと言う。
夏奈
「理央は大事な日だね。」
理央は窓の外を見たまま、短く答えた。
理央
「うん。」
それ以上は語らない。
三駅分の時間が、ゆっくりと流れる。
”次は、綾部綾部”
アナウンスと同時に、三人は立ち上がった。
ホームに降りると、夜風が一層冷たく感じられる。
理央
「じゃあ、お疲れ。」
夏奈
「お疲れ様。」
「明日もいっぱい琴音ちゃんを」
「祝ってあげてね。」
遥陽
「明日、頑張れよ!」
理央
「2人ともありがとう。」
夏奈
「それじゃ気をつけて。」
それぞれの帰り道へと散っていく中、
理央は一度だけ空を見上げた。
明日へと続く夜を、胸の奥で静かに確かめながら。
誕生日前日 終わり


