君の事好きになっても良いですか?



そうして私達が向かったのは、
屋内型複合レジャー施設。

ボーリング場に入ると、
賑やかな音が空気を変えていく。


琴音
「ボーリング苦手なんだよね(笑)」


私が言うと、千歌ちゃんが即答した。


千歌
「琴音ちゃん私もだよ。」
「でも、下手でも楽しいから好き!」

琴音
「私も下手だけどボーリング楽しいから」
「大好き!」


遥陽
「そろそろチーム組もうぜ。」
「ジャンケンで。」

遥陽の提案でみんなでジャンケンをし、
チームが決まった。

Aチーム:琴音・晃・夏奈・瑠斗
Bチーム:理央・千歌・遥陽


遥陽
「負けたらジュース奢りな。」

夏奈
「それは本気出す。」
「琴音ちゃん、晃君、瑠斗君頑張ろ!」

夏奈が即答し、場が和む。




最初の投球はAチームの私。

ボールを両手で持ち上げると、
ずしりと重さが伝わる。

琴音
「わっ!重い……。」


夏奈
「久しぶりだと重いよね(笑)」

夏奈が声をかける。

琴音
「うん……私ちゃんと投げられるかな(笑)」

琴音が構えた瞬間、
俺は自然に一歩琴音に近づいた。



「琴音、肩の力少し抜いて。」

指先が、ほんの一瞬だけ肩に触れる。
触れるつもりはなかったが、
触れた瞬間胸が熱くなる。
俺は平然を装って淡々と説明をした。



「こう、真っ直ぐ。」


琴音
「なるほど!」
「晃ありがとう!」
「さすが、晃!」

私は頷き、ボールを放った。

ピンは派手ではないが、確実に数本倒れる。

夏奈
「いいじゃん!」


瑠斗
「琴音先輩!」
「ナイスです!」

瑠斗君が思わず拍手してくれた。



Bチームのレーンでは、
理央がその様子を見ていた。


同じチームじゃなくても、
視線は自然と琴音を追うってしまう。
晃は琴音にボーリングの投げ方を
教えているのが、凄くモヤモヤして
不安になる。

幼なじみだし、琴音にはその気がないのは
明白に分かってはいるが……
晃は琴音の事がまだ好きだから……
それに……夏奈も複雑な気持ちなんだろう。


理央
「……次、俺行く。」

俺のボールを取る動作が、
いつもより少しだけ強い。

勢いよく放たれたボールは、
中央を一直線に転がり、
派手な音を立ててピンを弾き飛ばした。

琴音
「ストライク!」
「理央すごい!」


琴音が大きな声を上げる。
隣りのレーンから俺の出番を見てくれて
た。

夏奈
「はいはい、さすが彼氏(笑)。」


夏奈が気を紛らす為軽く茶化す。


Aチームに戻り、今度は瑠斗君の番。

瑠斗
「だ、大丈夫かな……」


琴音
「瑠斗君、大丈夫だよ!」
「晃伝授だけど、」
「真っ直ぐ投げれば、ちゃんと行くよ!」


琴音先輩のその言葉に背中を押されるように、
俺は思い切って投げた。


ボールは中央を転がり、ピンをいくつか倒す。


夏奈
「おお……!」
「やったじゃん!」

夏奈が嬉しそうに声を上げる。

瑠斗
「先輩達!嬉しいです!」

琴音
「良かったね!」



「良かったな。」


瑠斗は照れたように笑った。


私が二投目に入る直前、
晃がまた一歩近づきかける。



「琴音……」

えっ……!晃……ちょっと近すぎ……


その瞬間、瑠斗が小さく口を開いた。

瑠斗
「晃先輩……あの……」

全員の視線が俺に集まる。
理央さんも止めに入ろうと動き出そうと
したけど止めてこちらを見る。

瑠斗
「琴音先輩が……」
「さっきからちょっと」
「困ってる気がして……」

静まり返るレーン。

俺は瑠斗の声で言葉を失い、
そっと距離を取った。


「……悪い。」

短く、それだけ言った。
理央でもなく、千歌や夏奈などでもなく
後輩の、まっすぐな一言が胸に突き刺さる。

一度空気は重たくなったが夏奈が機転を
利かせてくれる。

夏奈
「晃君、また琴音ちゃんに」
「ボールの投げ方教えようとしてた」
「だけだもんね!」


「あっ……うん。」


琴音
「そうなの?」
「晃、私だいぶんコツ掴んだから」
「大丈夫だよ!見てて!」


私は2投目のボールを投げていくつかの
ピンを倒しその後は、
再び笑い声が戻り、点数を競い合いながら
ゲームは続いた。

勝敗は僅差だったが、結果はAチームの勝利。

夏奈
「やったー!勝った!」
「理央達はジュース奢りね!」

夏奈が勝ち誇ったように言うと、

理央
「はいはい(笑)」

理央は苦笑しながら立ち上がった。