君の事好きになっても良いですか?



12月1日、金曜日。
──誕生日前日

放課後、
白鷺高校の校門を出ると、
冬の空気が一気に頬に触れた。
吐く息は白く、
足元のアスファルトからも冷えが伝わってくる。

琴音
「寒……」
「今日、昨日に比べて凄く冷えるね。」

私が小さく呟くと、
隣にいた千歌ちゃんがにっこり笑った。

千歌
「もう完全に冬だね。」
「明日琴音ちゃんの誕生日なのに、」
「季節は全然祝ってくれないね(笑)。」


琴音
「本当だよ(笑)」
「早く春にならないかな。」



琴音先輩と千歌先輩が並んで歩いてる
その少し後ろを、
晃先輩と俺は並んで歩いていた。


「おい、緊張してる?」


晃先輩から俺に声をかけてきた。
初めてかもしれない……
晃先輩から声かけてくるなんて……
どうしたんだろうと俺は少し驚いてから頷いた。


瑠斗
「はい……正直。」
「先輩たちばっかりで緊張します。」



「大丈夫だろ。」
「あいつらみんな優しいから。」
「肩の力抜って。」


そう言う晃の横顔を、瑠斗はちらりと見る。

優しいのは……琴音先輩だけじゃないんだな。
最初、晃先輩の印象悪かったけど、
この人は、琴音先輩になると
そうなるだけで、根は優しい人なんだと
最近気付いた。


そんな他愛ない会話をしながら、
先輩達と白鷺駅へ歩いて向かう。



白鷺駅前のロータリー。

すでに理央、夏奈、遥陽が揃っていた。

遥陽
「お、来た!」
「こっちこっち!」

遥陽が手を振る。

理央は、琴音の姿を見つけると、
迷いなく歩み寄った。
はぁ……この感じ未だに慣れない。
毎回心がチクチクしてしまう……。

理央
「寒くない?」


そう言って、俺は自分のマフラーを外し、
琴音の首にかける。

琴音
「え、理央……いいの?」


理央
「俺、彼氏だし。」


その一言に、夏奈が即反応した。

夏奈
「はいはい、ごちそうさま(笑)。」


遥陽
「相変わらずだな(笑)。」

遥陽も苦笑する。


理央
「いやいや、遥陽も人の事」
「言えないんだけど。」

千歌ちゃんを後ろから抱きしめながら、
俺に言ってくるし。


遥陽
「えっ?俺らはいつもこうだよな?」


千歌
「あっ///うん。」



その様子を、少し離れた位置から
俺と瑠斗は見ていた。

瑠斗が小さく呟く。


瑠斗
「理央さん……本当に、」
「琴音先輩の彼氏さんなんですね。」


俺は瑠斗の言葉に何も答えず、
視線を琴音から外さなかった。