君の事好きになっても良いですか?

俺が話しを切り出す前に、
夏奈から話しを切り出す。


夏奈
「理央!私ね……」
「晃君のこと、好きなの。」



夏奈の声は、
思ったより落ち着いていた。


やっぱりな、と思った。


夏奈
「琴音と千歌には文化祭が終わった」
「時に話したの。」
「でも、理央も遥陽にも……」
「知っててほしくて。」
「近々遥陽にも言うつもり。」

理央
「……そっか。」
「頑張るんだろ?」

夏奈
「うん。私頑張るよ。」

理央
「なら、良い。」


それ以上、
余計なことは言わなかった。


晃が戻ってくる気配を感じて、
俺はすぐに琴音の手を取る。


理央
「琴音」
「別の店、見に行こ。」

理由を聞かなくても、
琴音は察してくれた。

琴音
「あっ、うん。」
「夏奈ちゃんまたね!」
「晃をよろしくね。」





理央に手を引かれながら、
胸の奥が少しざわついた。

夏奈ちゃんの表情。
晃の背中。

私にはどこか2人ともどことなく
寂しい空気を感じた。





──再び晃と夏奈2人きり──


理央と琴音が人波に紛れていくのを、
俺はしばらく見送っていた。


「……行っちゃったな。」


何気なく口に出した言葉に、
夏奈は小さく頷くだけだった。

その沈黙が、少しだけ長い。


気まずい、というより、
何かを待っているみたいな空気。

「プレゼントも無事、夏奈のお陰で」
「買えたし、目的果たせた。」
「夏奈ありがとう。」
「じゃあ、俺らもそろそろ帰るよ」
「遅くなるのも夏奈危ないし。」
「それじゃ、俺は電車だから。」
「またな。」
「気をつけて帰れよ。」


そう言って、俺は
モールの出口へ歩き出した。

夏奈は地元だから、モールから家まで10分
くらいの距離で着く。

俺は、
綾部駅方面をゆっくり、プレゼントの袋を
持って歩き出す。


数歩進んだところで、
後ろから声がした。


「……晃君、待って!!」

足を止めて振り返る。

夏奈は、
少しだけ息を整えながら立っていた。


「ここで別れるの、嫌で」
「追っかけて来ちゃった。」


その言葉の意味を、
俺はまだこの時は深く考えていなかった。


「駅まで一緒に行きたい。」


「うんわかった。」

二人で歩く道。
昼間の熱を残した風が、
アスファルトの匂いを運んでくる。