その言葉に、
小さく息を飲む。
私は最初から、晃君の心の中の
選択肢にも入っていない。
それでも、
笑顔を崩さなかった。
私の一方的な想いで、
晃君を困らせたくない。
「だよね。」
そう言って、
またケースに視線を戻す。
晃君の隣にいられるこの時間が、
終わってしまうのが怖かった。
初めて2人で出かけたから……
今度いつこうして2人で会えるのかな……。
それは私の頑張り次第だけど。
──ショッピングモール 琴音・理央
モールに入った瞬間、
琴音は少しだけ足取りを緩めた。
「人、多いねー。」
そう言って琴音は周囲をキョロキョロ
と見ている。
リスみたいで可愛い……。
抱き締めたい気持ちを拳に力を
入れて耐えた。
「土曜だから、」
「人が多いのは諦めるしかないね(笑)」
そう言いながら、
俺は自然に琴音の手を取る。
もう、迷わない。
こうして繋ぐことに、躊躇いがなくなった。
「琴音、今日は何見る?」
「服?それとも雑貨?」
琴音は少し考えてから、
小さく笑った。
「……理央と一緒なら、なんでも。」
その言葉に、
胸の奥がじんわり温かくなる。
付き合い始めたばかりの頃みたいに、
全部が新鮮で、全部が嬉しい。
洋服売り場で立ち止まる。
琴音が手に取った淡いピンク色のワンピース。
鏡の前で合わせてみて、
少し照れたようにこちらを見る。
いつもいつも何でこう言う可愛い
仕草を不意打ちに俺に向けてくるのだ。
その度に俺の心を簡単に持っていく。
「……変じゃない?」
「全然、変なんじゃないよ。」
「琴音っぽくてすごい似合うと思う。」
その一言で、
琴音は安心したように笑った。
俺は思う。
こういう時間を、ずっと大事にしたい。
理央の隣を歩くのが、
当たり前になってきている。
それが嬉しくて、少しだけ怖い。
でも、
理央の手の温度が、
その不安を溶かしてくれる。
「理央、次あっち行こ!」
「了解」
返事一つで、
ちゃんと同じ方向を見る。
……幸せだ。
そう思った瞬間……
見覚えのある2人がそこに居た。


