*晃*
来月、12月2日は琴音の誕生日。
カレンダーを見た瞬間、
胸の奥が少しだけざわついた。
今年の誕生日にはには理央がいる……。
でも、
何もしないでいい理由にはならなかった。
プレゼントは……何がいいんだろ。
一人で選ぶ自信がなくて、
俺は千歌に電話をかけた。
「もしもし、アキ君?」
「千歌今大丈夫?」
「ちょっと相談なんだけどさ。」
用件を伝えると、
千歌はすぐに事情を察したみたいだった。
「ごめん、今週土曜は遥陽とデートなんだ」
「でもさ、夏奈ちゃん誘えば?」
「買い物、センスいいし。」
夏奈か……
最近はよく一緒に話す事が増えた。
「そっか……じゃあ、そうしてみる」
「ありがとう。」
千歌との電話を切ったあとも、
特別な感情は何もなかった。
ただ、
誰かと一緒の方が
選びやすいだろう、って思っただけ。
晃 side 終わり
*夏奈*
──夜
私は、いつもより少し早めにお風呂から
上がって自分の部屋に戻る。
11月に入り、お風呂上がりの寒さを
感じる時期にじわじわと時が進む。
すぐにベッドに腰をかけた瞬間に
スマホの着信が部屋に鳴り響く。
スマホの画面を覗くと、
今まで一度も電話をした事がない
晃君の名前が表示されていた。
えっ!?晃君!?
一瞬、息が止まった。
私は緊張で指を震わせながら受話器をタップ
する。
「もしもし晃君?」
「夏奈、急にごめん今電話OK?」
「全然OKだよ。」
「晃君が電話するの初めてだね。」
「どうしたの?」
私の心臓はドキドキと鳴りながらも
平然とした口調で頑張って話した。
「あっうん」
「夏奈今週土曜、空いてる?」
「琴音の誕生日プレゼント買いに行きたくて」
「プレゼントのアドバイスも色々」
「教えて欲しいから」
「一緒にどう?」
理由を聞いた瞬間、
胸が少しだけ痛んだ。
……やっぱり琴音ちゃん案件だつた。
それでも、
誘われた事実が嬉しかった。
「うん、行くよ。」
「私も丁度琴音ちゃんの」
「誕プレどうしようかと思ってたから。」
「ありがとう。」
「じゃ、また土曜日の詳細は」
「メッセージで送っとく。」
電話を切ったあと、
しばらく動けなかった。
これは“付き添い”。
それ以上でも、それ以下でもない。
分かってる。
分かってるけど――
それでも、
晃君の隣を歩ける土曜日を、
心待ちにしている自分がいた。
夏奈 side 終わり


