君の事好きになっても良いですか?



2年2組 メイド・執事カフェ

──教室に残る千歌と晃



理央君と琴音ちゃんが教室を出ていくと、
2年2組の中は、
また文化祭らしい賑やかさを取り戻した。


遥陽
「いらっしゃいませ、お嬢様。」


執事姿の遥陽が、
いつもより少しだけ気取った声で、
席に座る私の前に立つ。
かっこよすぎて直視できない!



遥陽
「ご注文はお決まりでしょうか?」



私は、分かっていてわざと首を傾げる。

千歌
「うーん……おすすめは?」


遥陽
「本日のおすすめは、」
「愛情たっぷりオムライスでございます。」


千歌
「じゃあ、それで。」


にこっと私は遥陽に笑顔を見せた。




「……あれ、接客って言うの?」


俺は半眼で遥陽と千歌を見る。

夏奈は、
トレーを持ったまま溜め息をついた。



夏奈
「違うね。完全にデートの雰囲気(笑)」




「なぁ、夏奈。」
「一応仕事中だよな?」


そう言って晃君は椅子に座ったまま
私を見上げながら凄く自然に
名前を呼び捨てで呼んだ。


……キュン……


えっ……?”キュン”って何!?
私、晃君にときめいちゃってんの!?

今まで、一度も名前呼ばれた事なかったから
嬉しくてキュンとしちゃったとか?

私、最近彼氏と上手くいってないからって
そんな些細な事でときめくもの!?
急展開過ぎない!?

とりあえず……冷静に……答えなきゃ。



夏奈
「うん。でも止めても無駄。」



2人の視線の先では、遥陽が千歌にだけ、
やたら丁寧に頭を下げている。




「……差、露骨すぎじゃないか?」

ぽつりと言われて、
私は思わず吹き出しそうになる。

夏奈
「それね(笑)」
「あれ見て“公平な接客です”」
「って言い切れたら逆に尊敬するわ。」

晃君小さく笑った。



「千歌も千歌だよな。」
「あの顔、完全に分かってて楽しんでる。」

その言い方が、
責めるでもなく、
呆れ半分、微笑ましさ半分で。

……あ、だめだ。
またキュンってしそう。

落ち着け……私。


私はわざと軽い調子で言葉を返す。



夏奈
「まあ、付き合ってるんだしね。」
「文化祭だし、多少は……ね?」