*瑠斗*
琴音先輩は……ライクだときっと
解釈している。
俺は可愛い後輩だと。
琴音先輩がそう受け取った瞬間、
胸の奥が少しだけ痛んだ。
本当は、
そんな軽い気持ちじゃないけどな……。
初めて見たのは、学校の2年生の廊下だった。
中学時代の先輩に用事があって、
たまたま琴音先輩を遠くからだけど、
友達と笑ってる姿がやけに目に残って、
気づいたら目で追っていた。
彼氏いるって噂、最初から知ってた。
だから、最初から勝つ気なんてなかった。
だけど、今日偶然同じバイトになって、
バイトで名前を呼ばれた時、
仕事を教えてもらって目が合った時、
そのたびに「好きだな」って思ってしまった。
好きになるのは、止められない……なぁ。
告白したのは、期待したからじゃない。
振り向いてほしかったわけでもない。
ただ、ちゃんと“好き”って気持ちを
自分の中で誤魔化したくなかっただけ。
”ライクでも好きは好き”
そう言ったのは、
半分本音で、半分嘘。
本当は、ちゃんと“好き”なんだよ。
でも、彼氏がいる琴音先輩を困らせたくない。
今の関係を壊したくない。
だから、今は後輩でいいってなだけ。
近くにいられるなら。
笑顔を向けてもらえるなら。
いつかじゃなくてもいい。
可能性がゼロでもいい。
好きだって気持ちを、
ちゃんと認められたから、
それでよかった。
”可愛い後輩だよ”
その言葉をもらえただけで、
胸の奥が少しだけ救われた気がした。
……でも、簡単には諦めない。
言葉にはしない。
態度にも出しすぎない。
それでも、好きな気持ちだけは
嘘じゃないから。
休憩終了のチャイムが鳴る。
瑠斗はいつもの明るい笑顔を
作って立ち上がった。
瑠斗 side 終わり


