ドアを開けると、琴音は少し目を丸くした。
「……理央の部屋。」
「期待しすぎないでな?」
「普通だから。」
「ううん」
「理央君らしい」
そう言って、きょろきょろと部屋を見回す。
「あっ!」
「これ!青空ワールドのアクリルキーホルダー!」
「全種類コンプしたの!?」
「うん!」
「去年、冬限定ガチャで」
「全種類ゲット出来るまで回した(笑)」
琴音は俺の勉強デスクの壁に、
掛けてあったコルクボードを指をさして
目を輝かせて言ってきた。
「これ、私がガチャ回そうと」
「思った時にはもうどこにも」
「売り切れて設置されてなかったんだよね。」
そう言って、琴音は残念そうに
去年の出来事を話してくれた。
去年は琴音がこの世に存在してる事も
俺、知らなかったんだなぁと思うと
人の縁って本当にすごい事なんだなぁ
と感じた。
「あっ、琴音待って。」
「ん?」
理央は、棚から四角い箱を取り出し
中身をゴソゴソと触っていた。
「はい、これ。」
「手、出してごらん。」
「手?はい。」
私は、言われるがまま手を出した。
すると私の手に、タイムリーに
話をしてた青空ワールドの
スカーレットとモナの
アクリルキーホルダーがチャランと
音を鳴らせて私の手にすっぽり収まった。
「えっ!?」
「これ、言ってたガチャの」
「モナとスカーレットのアクリルキーホルダー!?」
「俺、これ3個ダブってるから」
「琴音にあげる。」
「えっ!?」
「良いの!?」
「しかも、モナはなかなか手に入らない」
「って聞いた事あるよ?」
「それを3個も被るって、」
「理央の運凄いね(笑)」
「でしょ?(笑)」
「いいよ琴音にあげる。」
「もらってくれる方が嬉しい。」
「理央、ありがとう!」
「大事にする。」
「うん!」
その後も私は、理央の部屋を見て回る。
机の上に並んだ教科書。
壁に貼られたカレンダー。
ベッドの横に置いてあるギター。
琴音はアコースティックギターの
前で立ち止まった。
「これ、弾けるの?」
「少しだけな」
「暇な時に触る程度だけど……。」
「……聴いてみたいな。」
その一言に、俺の心臓が跳ねた。
「い、今は無理!」
「急に言われると無理だから!」
本気でそんなに上手くないし、
恥ずかしすぎる。//////
「ふふ、冗談」
「でも、いつかね♪」
琴音はそう言って、ベッドの端にちょこんと座った。
……近い。
この近さは……その……ヤバいです。
彼女がここにいる。
それだけで、空気が変わる。
「……緊張してる?」
俺が聞くと、
琴音は小さく頷いた。
「うん///。」
「理央の“彼女”として来てるから。」
その言葉が、胸に深く刺さる。
「……俺も」
「変なことしたら嫌われるんじゃないかって、」
「ずっと考えてた。」
琴音は一瞬驚いたあと、ふわっと笑った。


