イントロが流れ、まず俺が最初に
歌い出す。
安定した、少し低めの声で順調良く
音程を正確に取りながら歌う。
そんな俺を琴音はキラキラした目で
見つめている。
皆も、静かに聴いてくれている。
そして、いよいよ琴音のパートに
入った。
琴音が、静かに息を吐いて歌い出した
瞬間に部屋の空気がすっと静まった。
理央
……なにこれ……。
ただ上手いだけじゃない。
身体の奥まで、真っ直ぐ琴音の歌が
入ってくる。
綺麗な声……。
リズム感が良く、
声量も適切で、柔らかい声。
表現力が高く、まるでその物語にいるような
錯覚を起こしてしまう。
ヤバい……琴音、歌上手すぎでしょ。
俺はつい聴き入ってしまう。
そして、サビが始まり
俺と琴音の声が重なる。
めっちゃくちゃ琴音と歌うと唄いやすい。
歌で誘導されてるのがとても心地よくて
良い気分にしてくれる。
俺は、自然と琴音を見てしまう。
琴音は歌に集中していて、
少し目を伏せている。
もう……可愛いすぎる。
こんなの聴かされたら、
他の男、琴音のこと絶対好きになる
に決まってる。
晃は昔からこの歌声を独り占めに
してたのだと思うと。
嫉妬してしまった。
晃
懐かしい……
中学生の頃、
放課後の教室で誰もいない時に
良く、琴音は小さな声で歌っていた。
あの頃から、変わってない歌声。
本当、上手すぎてつい聴き入って
しまう。
案の定、理央もみんなも衝撃を受けて
そして全員が琴音の歌声に耳をすませて
いた。
遥陽
えっ!?
琴音ちゃんヤバすぎでは?
上手すぎて、俺一瞬固まってしまった。
もう、歌手になった方が良いんじゃないの
と思う。
千歌は可愛らしいアイドル系の歌い方で
可愛いらしい声。
でも、琴音ちゃんはピアノやアコギに
マッチングする綺麗な大人びた歌声。
つい、聴き入ってしまう。
千歌
……えっ!?
私は、思わず息を止めてしまった。
琴音ちゃん……マジで私の好きな声。
もう、ファンになってしまうよこんなの
聴かされたら。
文化祭の催しで琴音ちゃん歌って
くれないかな……。
透明感があって、
芯があって、
真っ直ぐ耳に入ってくる声。
私は目を閉じて聴き入っていた。
夏奈
うわ……綺麗な声。
普段話してる声より少し高音で、
透き通る。
いつもの柔らかい声とはまた違う
芯が強いけど、そこに優しさのある
柔らかさがあった。
私は目を閉じてそっと聴き入った。
曲終了──
……数秒。
誰も、すぐには声が出せなかった。
最初に声を上げたのは私……。
千歌
「ちょっ……待って。」
琴音
「千歌ちゃん……何?」
「私の歌変だったかな……?」
千歌
「琴音ちゃん、反則だよー!」
琴音
「えっ!?」
千歌
「なんで!なんで今まで黙ってたの!?」
「普通に、プロレベルで上手すぎでしょ!」
琴音
「そんな事ないよー!」
「上手い人いっぱいいるよ。」
夏奈
「いやいや、あれはずるいって!」
「琴音ちゃん、カラオケのレベルじゃない(笑)」
遥陽
「夏奈、千歌ちゃんの言う通り。」
「正直俺、引いたわ。」
「いい意味でな(笑)」
「凄すぎて腰抜けそうになるわ(笑)」
みんな……本気で言ってる?
私、こんなに褒められた事がないから、
恥ずかしさと嬉しさで胸がいっぱいに
なっちゃう。
晃
「だから言ったろ?」
「琴音は、昔から歌上手いんだよ。」
俺は誇らしげに言って笑った。
本当、琴音の歌声はみんなに届ける
べきだと思う。
俺はみんなが話してる中、
しばらく黙っていた。
それから俺は、隣りにいる琴音の
手をぎゅっと握る。
理央
「何それ……。」
琴音
「理央……?」
理央
「こんなにも綺麗な声で」
「歌う彼女が俺とか、正直……」
「自慢でしかないんだけど!」
俺は素直な感想を告げた。
すると琴音の顔が一気に赤くなるの
がわかった。
また、可愛いリアクションする。
琴音
「理央まで!」
「や……やめて~!」
「恥ずかしくてしょうがない///。」
理央・晃・夏奈・千歌・遥陽
「やだ(笑)」
理央
「次も一緒に歌おうな。」


