「何?」
「沙夜ちゃんが魅力的すぎるから」
「はあ」
「誘ってるのと変わらないんだよなぁ」
「はあ」
自覚がないって、時に凶器だよなぁほんとに。
はあって。
「沙夜ちゃんは、俺の部屋着姿とか、シャンプーの匂いとか、ドキドキしないわけ?」
「…それ言うってことは、逆に私の部屋着とシャンプーの匂いにドキドキしてたってこと?」
「そうなるね」
「はあ…」
「呆れないでよ」
すると急に、沙夜ちゃんが俺にぽふっと抱きついてくる。
軽くよろける。
「えっえっ」
「絃くんのシャンプーの香りは、身長差あるからあんまり分からないけど、柔軟剤とかと混ざる、絃くんって分かる匂いは好き」
「俺の体臭?」
「なんかその言い方嫌」
「ははは」
俺は沙夜ちゃんの頭を支えるように抱き締めた。
「俺の匂い、忘れられなくなるくらい嗅いでよ」
「苦し…」
「夢中になって。寝る時は、俺の脱ぎたてのパーカー欲しいとか言い出したらいいのに。そんで、いっそ俺無しじゃ生きられなくなって」
「重っ!」
「重いよ、沙夜ちゃんへの愛情の重さは自覚してる」
少し離れて、軽くしゃがんで目を合わせた。
「沙夜ちゃん、愛してる」
ただ唇を重ねた。
…今日は、このくらいにしておこう。
眠れなくなりそうだから。
そーっと部屋に戻る。
寒すぎて、布団にくるまってひたすら暖をとることになったのは、言うまでもなく、無自覚に疲れていたらしく、いつの間にかそのまま眠っていた。



