10分くらいすると、続々と人がピークでやって来た。
座席は班ごとだから、なんとなく班員でまとまって集合している。
「おはようございます」
「おはよう」
最初に俺らを見つけたのは蒼井さん。
「王子谷くん、おはよう!」
「おはよー」
次がシノン。
ぺこりとお辞儀をしてきたのは遥人。
「王子谷くん、気合い入ってるねー!キャリーケースに、ボストンバッグかー」
シノンがそう話しかけてきた。
「ん?…ああ、ボストンバッグは沙夜ちゃんの。本体どっちだよってくらい重そうだったから、持ってるだけ!」
「なるほどね。最高な彼氏だね!」
「沙夜ちゃんの自慢の彼氏じゃないとね。振られたくないし」
「振られやしないでしょ」
シノンは笑った。
「僕の方が、愛想尽かれないか心配だよ。花鈴、僕が荷物持とうか?」
「私は、いい…」
「え、あ…そう?」
人前で彼氏らしいこと、彼女らしいこと、をするの嫌っていう人は少なからず一定数いるからね。
そういうタイプかな、蒼井さんは。
荷物を持ってあげる、そういう彼氏らしいことくらい、シノンだってしたいだろうけどね。
沙夜ちゃんとはまた違うタイプの控えめな子なんだろう。
…まあ、付き合い始めに比べたら、沙夜ちゃんも控えめさは無くなってきたけど。
勿論良い意味でね。



