そして、修学旅行の朝。
余裕をもって羽田空港に着く。
ちらほらと来ている同級生がいる程度で、結構早い組だった。
「あっ、絃くん。おはよ…」
「おはよ、早いね。ちょちょちょ…大丈夫?」
「だいじょばないっ」
沙夜ちゃんが俺を見つけて来てくれるけど、2泊3日の大荷物は、華奢な彼女には重たそう。
大荷物すぎて、もはやボストンバッグが歩いているようにしか見えない。
俺が持ち上げると、沙夜ちゃんはふらついた。
「重いよ?大丈夫…?」
「俺そんなひ弱じゃないんだけど?」
自分のはキャリーケースだから、キャスターで転がすだけだし。
あまり下に置きたくないだろうから、持っておこう。
いつものリュックだけになった沙夜ちゃんは、楽そうにしていた。
「よく眠れた?」
「22時に横になったけど、逆に眠れなかったかな」
「あるあるだねー。俺もそんな感じ」
「絃くんはキャリーケースか。キャリーケース羨ましい。大和も、今日から修学旅行でさ」
「やま…あ、弟」
「そう、沖縄行くーって」
「姉弟で南北端か。」
「うん、それでボストンバッグとキャリーケース、どっち使うかじゃんけんして負けた」
「おお…ご愁傷さま」
姉に譲ればいいのに、シスコンなんだから。
でも沙夜ちゃん勝ってるよ。
家族で沖縄行ったことあるんでしょ?
また沖縄行くことになった大和に、新しく北海道行ける沙夜ちゃんは勝ててる。



