教室に着くと、俺を一瞥することもなく、沙夜ちゃんは自分の席に行ってしまう。

まだHRまでは時間がある。

少しだって長く彼女といたい。

そんなの世の彼氏の当たり前の感情じゃない?

俺は慌てて自分の席にリュックを置いて、沙夜ちゃんの席へ向かう。


「放課後デート、どこ行こうか?あのさ、オソロのストラップとか、つけたいんだよね」

「…うん」

「授業中も、家帰っても、ずっと一緒」


我ながら気持ち悪いこと言ったかもしれない。

でも彼女は引いたような顔をすることなく、ただ変わらず微笑むだけ。


「駅前のショッピングモールでも行く?」

「そうしよっか!あそこなら何かあるかも」


彼女は頷いた。