それから平和に時が過ぎ、2年生になる。

新学期の朝、クラス替えをドキドキしながら駅で沙夜ちゃんを待っていた。


「絃くんおはよ」

「おはよ。…はあ、クラス離れたらどうしようって、不安で眠れなかった」

「そう?」

「沙夜ちゃんはそうでもないの?」

「離れた方がいいよ」

「えっ」


沙夜ちゃんは苦笑いした。


「絃くん、私と付き合う前と付き合った後じゃ、成績落ちてるじゃん」

「何故それを…!」

「クラス離れて、授業集中してください」

「わーん」

「てか、どうせ休み時間とか、朝も帰りも一緒でしょ。クラス一緒でも離れても変わらないじゃん」


嫌だー、そうだけどそういう問題じゃない!

どれだけ至近距離に沙夜ちゃんがいるかどうかであって…。


強く彼女の手を握りながら登校する。

校庭にクラス表が掲示してある。


「手痛いんだけど…」


同じクラスなのを願って…。


「王子谷絃!三倉沙夜!一緒!」

「そんなぶんぶん振らないで…」


同じクラスだ!


教室へ行き、苦笑いになる。

そうだ…しばらく出席番号順か…。

せめてもの救いは、俺の方が沙夜ちゃんより後ろの席。


「沙夜ちゃんの背中眺めながら授業受けられるー」

「転校しようかな」

「絶対だめ」


沙夜ちゃんは笑った。

ずっと話してるわけにもいかず、各々席に着く。

穂華は別クラスになってしまったし、1年の頃話していた男子達も別になってしまったな。

まあ沙夜ちゃんと付き合ってからは、ほとんど男子と絡んでいなかったけれど。