翌朝。

駅には沙夜ちゃんが待っている。

…うん、とても愛する彼女に言う台詞ではないのは、百も承知で言うが。


「顔死んでるけどどうした?」

「絃くんおはよう」

「うん、おはよう」


ぼんやりしていたようで、俺のひっどい第一声で俺の存在に気付いたらしい。

あ、ちゃんと絃くんって。

呼んでくれた。


「昨日の放課後号泣&夜、脳内反省会的なの止まらなくて、ようやっと寝たの4時で、コンディション最悪」

「あ…なるほど。電話でもかけてくれれば良かったのに。ミュートにはしてるけど、連続3回かければ鳴る仕組みにしてるから出るよ」

「いやいや。起こすわけないじゃん」

「彼氏、朝まで巻き込んでよ」


にこりとしてそう伝えると、微笑んできた。

手を握り、学校へと向かう。

教室に着くと、視線を感じる。


仲直りしたんだー、良かったねー、というような優しい視線もある一方、どことなく敵意を感じる視線もある気がした。


穂華が、にか!っと遠くから笑ってくる。

いつもなら近付いてきて、あたしのおかげでしょ!とか言ってきそうなのに。

ついでに背中とかぶっ叩いてきそうなのに。

穂華なりの気遣いか?