「誤解されてる気がする」
「振ってるのは知ってる。別問題は発生してるかなー」
「別問題?」
「あたしの口からは言えないかなー」
「え、何だよ」
穂華は、ふんっと息を吐いた。
「沙夜の話、ちゃんと聞いてる?」
「え…?」
「え…?じゃないよ。いつもあんたばっか話してるんじゃないの」
「それもあるけど、沙夜ちゃんあまり口数多い方じゃないし…」
「辛抱強く耳傾けなきゃ、沙夜は口割らないよ。あたしだって苦戦したんだ。その上、一度心閉ざしたようなもんの絃相手じゃ、もっと難しいだろうけどね」
「そんなぁ」
「あたしは、ちゃんと2人が幸せになってほしいから、沙夜の言い分知ってるけど、あえて絃には言わない。ちゃんと絃の力で引き出しな。まあ、沙夜にはもう少し絃に思ってること言いなさいよって、心開きなさいよって言ったからさ。多少は?マシかな」
「やるやんたまには」
「たまにじゃねーわ!」
穂華に肩を小突かれる。
そこに、沙夜ちゃんが戻ってくる。
真顔でとても、大好きな彼氏に向けるような表情ではなかった。
俺は笑ってほしいだけ。
それだけのことしてしまったんだ、あの日。
「授業始まる!戻ろ、沙夜」
「うん」
俺のことを一瞥してから、沙夜ちゃんは席に戻っていった。



