「なに、恥ずかしくなってきた?」
「違う」
なんだ、嫌よ嫌よも好きのうちってやつか。
襟を少しずらして、ゆっくりキスマークをつける。
俺以外にこんなの付けさせないし、見せない。
沙夜ちゃんは俺のって印。
満足して、彼女の額と俺の額を合わせた。
「続き、する?」
俺はただただ意地悪に微笑んだ。
止まれるわけないじゃん、目の前に彼女がいて、家に部屋に2人きり。
両手共指を絡めてみる。
「ん?」
彼女の表情はよく分からない。
言葉も発さない。
沈黙は肯定と見た。
手首を掴んで、ベッドの方へ向かった。
いや、正しくは向かおうとした。
「もうやめてよ!」
聞いたことないくらいハッキリした声だった。
振り返って彼女を見た。
優しく微笑んでいるあの顔で、泣きそうだった。
隠すように、掴んでいない方の手で口元を押さえていた。
あ、まずいことをした。
やらかした。
そう思うにはかなり遅かった。
彼女の目から涙が零れた。



