それでも上目遣いのまま俺の目を見つめてくるが、さすがの沙夜ちゃんも瞳が揺れた。
困惑か。
恐怖か。
「絃って呼んで。それとも、絃くんがいい?」
さっきと同じ表情だ、機嫌悪いみたいな顔。
「好きって、言ってよ」
沙夜ちゃんが何を考えてるか分からない。
俺はただ言葉を連ねた。
「絃くん好きって。言ってごらん」
彼女は一切口を開かない。
一文字に口をキュッと閉じたままだ。
「ねえ。なんか言ってよ」
彼女の耳元に口元を近付けた。
「それとも何、好き勝手していいの…?」
そう囁くと、沙夜ちゃんは微かにビクッとした。
唆る。
俺の手中に完全に収まってる気がして。
手始めに、唇を重ねた。
ちゅ、ちゅ、と。
啄むように、短く、軽く。
少しずつ長くしていく。
沙夜ちゃんは俺の肩に手を置く。
やば、止まんな…。
徐々に舌を絡めていく。
もうどっちの唾液なのかなんて分からない。
今までしたことないくらい、激しく舌を絡め合った。
でもそこで、沙夜ちゃんからの拒絶を感じた。
沙夜ちゃんが俺の肩に置いていたその手に、力を感じた。
一度顔を離した。



