「なんでもない。ごめん」
「こっちこそごめん…」
気まずそうに沙夜ちゃんも謝ってきた。
そういえば、今日寝坊かましたのには理由がある。
家族全員が母方の祖父母宅に新年の挨拶に行って、家の中が静かだったんだ。
電車1本で行ける距離で、俺は明日1人で行く。
福袋買って、神社で参拝して、夕飯ご馳走になって帰ってくると言っていたな。
「沙夜ちゃん、家、来る?」
「え」
聞いたことないような情けない声を出していた。
「仲直りのぎゅー、いっぱいできるよ?あと、あーんの再チャレンジも」
「何の再チャレンジ?」
「まさか覚えてない…?」
クリスマスの夕ご飯の時、あーんしようとして、断られたのに…!
俺の中で再チャレンジしようって決めただけだったっけ。
「じゃあ決定ね、俺の家行こう!」
「私何も言ってない…」
「ふーん、じゃあ来ないんだ?このまま午前中でバイバイ?」
「それでもいいよ」
彼女は拗ねたように目を逸らして伏せた。
「あーごめんなさい、来てください」
沙夜ちゃんには勝てない。
「ゲームとか、しよ?サブスク入ってるから、ドラマとかアニメ観てもいいね。続き気になるって、また来る理由になるし」
「外デートより家デートの方が好きなの?」
「どっちも沙夜ちゃんと一緒なら好きだよ」
「ふーん」
どういう感情の、ふーんなのかは分からないけれど。
「でも、家デートなら沙夜ちゃんも気楽でしょ?ああ、人の家っていう緊張はあるかもだけど。それ差っ引いたら、イチャイチャできるし!好きなことできるし!違う?」
「コメント差し控えさせていただきます」
「そこ控えめじゃなくていいよ?まあ、行こっか」



