沙夜ちゃんの家の最寄り駅に向かうが、結構遠いようで。
「こんな遠いなら、言ってくれれば良かったのに」
「何で」
「もう少し近場でイルミ探したって」
「まあ…遠いけど、定期券使ってそこそこ行けるから、交通費あまりかからないしいいかなって」
「そう?うーん…解せない」
電車内では、奇跡的に椅子が並んで空いて、2人で座る。
いつもより近い距離。
肩と肩が触れ合う。
学校だとナチュラルメイクだけど、今日はピンクを取り入れていて、大人っぽく、でも可愛く見える。
いつもとまた違う、特別な可愛さ。
家まで送らなきゃダメかなこりゃ。
そんなことを考えていると、左肩に重みを感じる。
「沙夜…ちゃん?」
彼女が凭れかかってきた。
疲れたのかな、人混みばっかりだったもんね。
彼女の右手は俺の左手と恋人繋ぎ。
左手は俺の左腕をホールド。
沙夜ちゃん。
他の男にもこういうことするの?
それとも俺だから?
言わないだけで、俺のこと本当は好きなの?
後者であれと、切実に願ってみた。



