激甘な溺愛は警報級


食べ終わって外に出ると21時だった。


「どこまで送る?」

「…いい」

「ああ、どこまで送る?じゃ、沙夜ちゃんは遠慮するよね。理解が乏しかった。…分かった、沙夜ちゃんの最寄り駅まで送る」

「いい」

「いいね!の、いい?だよね」


彼女は、至極めんどくさい、というように目を細めていた。


「こんな時間に、しかもクリスマスで浮かれた男がいる中で、沙夜ちゃんみたいな天使か女神かその類いの何かを歩かせられないよ、1人で」

「天使だから飛んで帰れる。じゃあね」

「あああ、例えだよ例え!」


沙夜ちゃんは楽しそうに少し笑っていた。


「俺が困るようにからかってるなー!あんまり意地悪すると、連れて帰るよ!」

「いいよ」


なんの躊躇もない、いいよにこっちが面食らう。

手を出される、に直結しないのか?

親がいるからって高を括ってるのか…そもそもそういうことするって考えがないのか。

あるいは、そんなことするなんて勇気が俺に無いと思われてナメられてるのか。

ほぉーん…?


「…なに?」

「俺もナメられたもんだと」

「え?」

「まあ、沙夜ちゃんの最寄り駅までは確定ね」


再び恋人繋ぎして、駅に向かう。