「2名でお待ちの王子谷さーん」
「はいー」
「こちらへどうぞー」
「呼ばれたね、行こっか」
立ち上がって彼女の手を引く。
ソファー席になんとか沙夜ちゃんを座らせ、メニューを見る。
「あー、迷うよね。なんでも美味しそうに見える」
今は頼む時、店員さん呼ばないんだよね。
スマホで簡単に頼める。
沙夜ちゃんが早くも自分のスマホでポチポチと注文している。
「え、もう決まったの?」
「急がなくていいよ」
そう言って俺にスマホを向ける。
これで一緒に頼めってことか。
知らない男からの、沙夜好きだよ、みたいなメッセージ通知来たらどうしよう。
杞憂だな、そんなの。
うん。
5分後くらいに俺も決め、注文する。
店内はガヤガヤ騒がしくて、丁度俺らみたいに高校生カップルとか、友達同士でキャッキャしてるのもいるし、家族連れなんかもいる。
カップルとして沙夜ちゃんと過ごして、いずれ家族として過ごすんだろうか。
ああ…重すぎんな、俺。



