昼休みの終わる5分前、校舎裏から2人で教室に戻る。

沙夜ちゃんは控えめな子で、俺の後ろをそろそろと歩いていたけれど。


「どうだったん?いやまあ、顔見りゃ分かるけど…」

「へへ!」


友人の明が話しかけてきた。

沙夜ちゃんは自分の席に戻って、教科書を準備していた。


「マジ…幸せ」

「はあそうすか」


その後の授業なんて、全然内容が入ってこなくて、風邪引くのかなってくらいふわふわしていた。

沙夜ちゃん…好き。

好きだよ。

そんなことが頭でいっぱいになっていた。

俺の方が沙夜ちゃんより前の席だから、眺めながらってわけにはいかないけれど、できたらもっと幸せだろうなと思った。