「触るな、こっちの台詞だよ」
そう言うと、央翔は沙夜ちゃんの肩から手を離し、俺の方に顔を向けた。
「なんでわざわざ、自分の学力に合わないこの高校に来たか分かります?」
俺の目を据わった目で見てくる。
立ち上がって、黒い笑みを浮かべた。
「宣戦布告しておきましょうか。…沙夜姐を奪いに来ました」
ニヤリと笑った。
背筋がゾクッとした。
なんなんだこの男は。
「言葉も出ないんですね。ふふっ、彼氏の座が俺の手に渡るのも、時間の問題ですかね」
央翔は机の上を片付けて、沙夜ちゃんの方にしゃがみこんだ。
「帰ろ、沙夜姐」
少し顔を上げた沙夜ちゃんは、頷いていた。
「頭使って糖分減ったしー、俺の奢りでクレープとか!どう?」
また頷いた。
「よし!行こー!」
沙夜ちゃんは、自分のペンポーチをリュックにしまって、俺の方を見ることなく手首を掴む央翔について行った。
触られてるのに拒絶しないのかよ…。
俺より背が高くて優しい男。
中学生の時からの気が知れた後輩。
俺には黙っていた。
思わず舌打ちした。



