1時間ほどしただろうか。
完全に目が覚めていた俺は、グルグルと考え事をして目がギンギンになっていたけれど、沙夜ちゃんは呑気に、表現しがたい声を上げながら目を覚ました。
「おはよ、絃くん」
「沙夜ちゃんおはよ」
俺が不安な顔してたら、もっと沙夜ちゃんが不安になる。
あまり顔に出さないように心がけた。
「お手洗い行ってくるね」
「はーい」
彼女が席を外している間に熱を測ると、37,5℃。
微妙だな…。
しばらくすると戻ってくる。
「絃くん。部屋でスマホちらっと見たんだけど、お母さんからLINE来てて」
「ん?うん」
「2人とも寝てたから朝ご飯用意するの忘れて出かけちゃった!って」
「ああ…」
「どうする?何なら食べられそう?」
「微熱だし、もう体しんどくないから、何でも食べられるよ」
某出来事で、筋肉怠いけどな?
うん。
「沙夜ちゃん、何作ってくれるの?」
「へっ?」
なんとも間抜けな声を出した。
「いや…その…」
「うん」
困ったように笑いながら目線を逸らした。
「料理できなくて…へへ」
ちょっと意外だった。
別にそれで冷めるとか、そういうんじゃない。
人間誰しも、得手不得手があるからねぇ。
何でもできそうな沙夜ちゃんが、困った顔するのがなんとなく愛おしかった。



