数時間前のことを思い出していた。
着けてないんだよな…。
修学旅行セットの中に入ってるわけもなく、沙夜ちゃんが用意してるわけもなく。
2人とも完全にはしゃいでいた、と言えば可愛いが…。
まずい。
とってもまずい。
冷や汗ものだ。
ぶっ倒れて彼女の家に泊まっている時に、そんなことがあって、万一のことがあったらもう、俺は社会的に殺される。
2重の意味で、何してんだよって話で。
俺の心配はまだいい。
高卒で仕事する。
そんなの造作もないことだ、沙夜ちゃんのもしもの苦労に比べれば。
問題は沙夜ちゃんへの負担だ。
身体面も精神面も、男が思うよりもずっと、負担がかかるはずだ。
俺が守るなんて、傍にいるなんて、簡単に言うけど、沙夜ちゃんは苦しむんだ。
「何やってんだ、俺…」
沙夜ちゃんを抱き締めながら、口元で漏らした。
「んあ?何か言ったか?」
「…いや」
大和がいるのを忘れていた。



