「沙夜ちゃん、ドライヤーしないと風邪引くよ。肺炎拗らせてまた入院する気?」
「めんどくさいから絃くん乾かして」
「半径2m」
「聞こえない」
沙夜ちゃんは、リビングを出て、ドライヤーを持って戻って来た。
「あのね」
ズカズカ歩いてきて、無言でドライヤーを手渡してくる。
半径2mなんてまるでお構いなく。
「あのね沙夜ちゃん」
「そこにコンセントあるよ」
そう言って、俺の前に腰を下ろす。
「臭いから別れる、って言わない?」
「小学生の恋愛してんの?」
「高校生だけど…」
「皮膚科の先生に、人間は臭いの!臭いもんなの!って言われたことある。そう、臭いんだよ。雑食だし」
「やっぱ俺臭い?」
「体調悪くてお風呂入れないのなんて仕方ないじゃん。別に気にしてない」
臭いのか…。
気にしてないだけで、臭うのか。
しゅーん…しゅーん…。
いいや、乾かしてあげよ。
なんか同棲カップルみたい。
女の子の髪なんて乾かしたことないけど、こんなんでいいのかな。
「どう…?」
「うん、いい感じ。ありがとう」



