翌週、ホームの外に沙夜ちゃんはいない。
心配になっていると、少ししてからスタスタ歩く沙夜ちゃんがこちらに来る。
「何かあったのかと思った…!おはよう」
「ちょっと遅延してた。おはよ」
「そかそか」
無事で良かった…はあ。
隣を歩いてくれるようになった沙夜ちゃん。
それだけでも嬉しい。
勿論手は繋ぎたい。
俺の彼女!って、知らしめたい。
沙夜ちゃんの体温を感じていたい。
その日の授業。
「テキトーにペア作って発表しろー」
と、先生からの指示。
真っ先に俺は沙夜ちゃんの席へ向かう。
すると穂華がいる。
「残念、あたしがいる」
「いや、先約俺だし」
「はあ?ペア作るの今知ったじゃん」
「彼氏ってだけで優先度高いんですー」
穂華の目つきが完全にヤンキー。
怖いって。
「仕方ないな、譲ってやるよ」
「よっしゃー」
穂華から沙夜ちゃん奪いました。
「穂華が良かった?」
「…特に何も」
少し不機嫌そうに見えた。
でも気のせいか。
優しく微笑んでいる。
正直、優しく微笑んでるのが、何考えてるのか分からなくて1番怖いんだけどね。



