気付けば23時。
「ゆっくり寝てね。おやすみ」
「おやすみ」
沙夜ちゃんは欠伸をしながら、リビングの電気を消してドアを閉めて出ていく。
布団を被り、意識を手離した。
ガチャガチャ、バサバサ。
朝の音で目を覚ます。
体を起こして、キッチン側を見ると、沙夜ちゃんのご両親が忙しそうに動いている。
パパさんの出勤か。
朝7時過ぎ。
んー、まだ倦怠感と熱っぽさがある。
「君はまだ寝てなさい」
体を起こしていた俺に、パパさんが気付いてそう言う。
「えっ、あっ、いや…」
どうするのが正解か分からず、しどろもどろになる。
「絃くん、スポーツドリンク飲もうね」
「あ、後でいいですよ」
「大丈夫よー」
ママさんはすぐ持ってきてくれる。
「ありがとうございます…」
確かに、喉が渇いていた。
潤うー!
そうこうしてるうちに、パパさんが鞄を持って立ち上がる。
「行ってらっしゃいませ」
なんとなく、丁寧っぽく言ってみた。
パパさんは驚いたらしく、固まって俺の方を見た。
「…行ってきます」
少し意外な反応で、こっちもビックリした。
「あはは、お父さんの行ってきますなんて、いつぶりに聞いたかしら」
と、ママさんが笑う。



