キッチンから、俺用のご飯を持ってきてくれる。
「ん、ありがと。じゃあ、食べさせて」
「ん?」
「あーん、して?」
「ん?」
自分で食えんだろーが!と、優しいその微笑みは語っていた。
俺には分かる。
初期のあの微笑みだ。
「まあまあそう言わずに」
「何も言ってないよ?」
頬杖をついて俺をじーっと見つめていたが、観念したのかスプーンを手に取って、すりおろし林檎を掬った。
「あーん」
「林檎からなの?」
「フルーツの方が消化速いから、フルーツから食べた方がいい」
「初耳」
1つ賢くなってから、林檎を口にする。
大好きな沙夜ちゃんから、あーんしてもらえた…!
「はい、あとは自分で食べて」
「ママさん帰ってくるまで。ね?」
「えー」
そう言いながらも、沙夜ちゃんはすりおろし林檎を全部あーんで食べさせてくれる。
100倍は美味しい。
卵粥も、ママさんの料理の上手さも相まって、美味しくて。
「婿入りしたい」
「トーンがガチじゃん」
「三倉家にいるメリットしか感じない」
「大和がいてもそう言えるかは知らないよ」
…なるほどね。
「黙らないでよ、私一生独身?」
「大丈夫だよ、何が邪魔したって、沙夜ちゃんのことは俺がお嫁さんにしてあげる」
「…俺がお嫁さんにしてあげる、か。ふーん、仲介役になって他の人紹介するとか?」
「俺の、お嫁さんにしてあげる」
沙夜ちゃんはニコニコした。



